「黒川の実家に父が一人で暮らしていたが、施設に入ることになった」「志賀本通の近くの親の家を相続したが、水害のことを聞かれたらどうしよう」。名古屋市北区は、地下鉄名城線で栄や名古屋駅方面に出やすい一方、庄内川と矢田川が区を横切って流れ、水害への備えが欠かせない区です。
この記事では、北区の空き家と地価の今の状況、北区の実家を売る前に確かめておきたいこと、売り方の考え方と、手続きの窓口を解説します。
この記事の結論
北区の空き家は約1万2,800戸、空き家率は13.8%で、名古屋市全体の13.2%をやや上回ります。地価は上がっていますが、上がり方は名古屋市の平均より緩やかです。北区はほぼ全域に庄内川や矢田川の洪水の想定があり、売るときは買主にハザードマップ上の位置が説明されます。学区ごとの地区防災カルテで実家の周りの想定を確かめ、価格の見込みを立てたうえで、古家付きで売るか解体して売るかを手取りで比べます。固定資産税の相談先は栄市税事務所です。
北区の空き家と地価は、いまどうなっている?
最初に、北区の空き家の数と地価の動き、地域の特徴を確認していきます。
北区の空き家は、どれくらいある?
2023年の住宅・土地統計調査では、北区の空き家は12,810戸、空き家率は13.8%でした。名古屋市全体の13.2%をやや上回り、16区の中では中ほどです。
北区には古くからの住宅地が多く、親の世代が長く住んできた戸建ての実家が、施設への入所や相続をきっかけに空き家になることがあります。区ごとの比べ方は名古屋市の空き家率は13.2%で解説しています。
北区の地価は、上がっている?
愛知県がまとめた2026年の地価公示では、名古屋市の住宅地は平均3.1%上がりました。国の地価公示をもとにした民間の集計では、北区の住宅地の平均は1平方メートルあたり約18万円で、前年より約1.5%の上昇と、市の平均より緩やかです。
上がり方が緩やかな地域では、値上がりを待って売るより、建物が傷む前に売る方が手取りが多くなることもあります。実家の近くの価格は実家の土地の価格を自分で調べる方法で確かめられます。
北区は、どんな地域に分かれる?
北区は、名古屋の中心部がある名古屋台地の北側に接し、川が運んだ土砂が積み重なってできた低い平地にあります。庄内川と矢田川が区を東西に横切るように流れ、川の南側と北側で街の様子が変わります。
南部には地下鉄名城線の黒川、志賀本通、平安通の駅や名城公園があり、名古屋の中心部へ出やすい地域です。北部の楠のあたりは、戸建ての住宅地が広がっています。
北区の実家を売る前に、確かめることは?
北区ならではの、売る前に確かめておきたい点を確認していきます。
洪水の想定は、どう確かめる?
名古屋市の資料では、北区は区のほぼ全域に、河川の洪水による被害のおそれがあるとされています。1959年の伊勢湾台風のあとも、2000年の東海豪雨、2008年の8月末豪雨、2011年の台風15号、2013年の集中豪雨などで、水害が繰り返し起きてきました。
名古屋市は、学区ごとに庄内川や矢田川の氾濫、中小の川の氾濫、地震のときの液状化や火災の想定をまとめた地区防災カルテを公開しています。実家のある学区のカルテとハザードマップで、浸水の深さの想定を確かめておきます。
買主には、何が伝えられる?
2020年8月からは、不動産を売るときの重要事項説明で、水害のハザードマップ上の位置を買主に説明することが、不動産会社に義務づけられています。北区のように広い範囲に想定がある地域では、ほとんどの物件で説明されるため、想定があること自体で売れなくなるわけではありません。
過去に実家が浸水したことがあれば、その時期と、床上か床下かを整理しておきます。知っている浸水の履歴を伝えずに売ると、あとで責任を問われることがあります。考え方は古い空き家を売ったあとで不具合が見つかったら?で解説しています。
建物と道路は?
古くからの住宅地の実家は、1981年5月31日以前に着工した旧耐震の建物であることや、前の道路が狭いこともあります。建物の建てた時期は登記事項証明書で、道路の扱いは名古屋市の指定道路図で確かめます。
旧耐震の家の扱いは旧耐震の空き家は売れる?で、道路の確かめ方は再建築不可の空き家を売るには?で解説しています。
当社の場合
当社の本店は北区に隣接する西区庄内通にあり、北区の実家のご相談では、地区防災カルテやハザードマップで浸水の想定を確かめ、建物と道路の状態を現地で見てからお伝えします。売るまでの間の管理も、外まわりの見回りを月4,000円、室内の確認を含めて月8,000円(税別)でお受けしています。
北区の実家は、どう売る?
北区の実家を売るときの考え方を確認していきます。
どんな人が買主になる?
地下鉄名城線の駅に近い実家は、栄や名古屋駅方面へ通勤する家族が買主の候補になります。名古屋の中心部より価格が抑えめなことを理由に、北区で家を探す人もいます。古い家を壊して新しい家を建てる建築会社が、土地として買うこともあります。
買主に合わせた売り方の違いは空き家は買取と仲介のどちらで売る?で解説しています。
古家付きか、解体か?
建物が古い場合は、古家付き土地として売るか、解体して更地で売るかを比べます。解体すると土地の固定資産税が上がることや、解体費がかかることも考えます。旧耐震の木造の家なら、名古屋市の除却助成が使える場合があります。
比べ方は空き家は解体してから売る?そのまま売る?で、補助の条件は名古屋市の空き家補助金まとめで解説しています。
売る時期は、どう考える?
北区のように地価の上がり方が緩やかな地域では、値上がりを待つ間に、建物の傷みや管理の費用、固定資産税がかさみます。相続した空き家の3,000万円控除には、相続から3年を経過する年の12月31日までという期限もあります。
台風や大雨の多い時期の前に、空き家の点検を済ませておくことも、売るまでの間の備えになります。考え方は空き家を売るタイミングはいつ?で解説しています。
当社の場合
北区の実家の査定では、近くで実際に売れた価格と、浸水の想定や建物の状態を並べ、古家付きで売る場合と解体して売る場合の手取りをお伝えします。遠方にお住まいの方も、電話と郵送で売却を進められます。買取のご相談もお受けしています。
北区の実家・空き家についてよくある質問
北区の実家の固定資産税は、どこに相談しますか?
名古屋市の市税事務所のうち、北区は栄市税事務所が担当しています。千種区、東区、中区、守山区、名東区も同じ事務所です。相続登記をしていない間の固定資産現所有者申告も、市税事務所に出します。
相続の手続きに使う戸籍は、どこで取れますか?
北区役所のほか、楠二丁目にある楠支所の窓口でも、戸籍や住民票を取れます。2024年3月からは、本籍地が遠くても、近くの役所で親の戸籍をまとめて取れるようになっています。
地区防災カルテは、どこで見られますか?
名古屋市のホームページで、学区ごとのカルテを見られます。実家の住所がどの学区に入るかを確かめてから、その学区のカルテを開いてください。洪水や内水のハザードマップとあわせて見ると、想定がわかりやすくなります。
地震のときの液状化の想定も、買主に伝わりますか?
重要事項説明で説明が義務づけられているのは、水害のハザードマップ上の位置や土砂災害警戒区域などで、液状化の想定は義務の対象ではありません。ただし、買主が自分で地区防災カルテを見て、質問してくることはあります。聞かれたときに答えられるよう、実家の学区の想定を見ておくと安心です。
台風のあと、遠方から実家の様子を確かめるには?
管理を頼んでいれば、台風や大雨のあとに見回りをしてもらい、写真で状態を確かめられます。確かめる場所は台風・地震のあと、空き家で確認すべき5か所で解説しています。
北区の実家・空き家は、学区の防災カルテで浸水の想定を確かめることから始めよう
北区の空き家率は13.8%で、地価は上がっていますが、上がり方は市の平均より緩やかです。区のほぼ全域に庄内川や矢田川の洪水の想定があるため、地区防災カルテとハザードマップで実家の周りを確かめ、浸水の履歴も整理します。そのうえで、古家付きで売るか解体して売るかを手取りで比べ、建物が傷む前に売る時期を決めてください。
名古屋市北区の実家や空き家でお困りの方は、名古屋空き家相談室(0120-337-900、10時から19時、年中無休)にご相談ください。初回の相談と現地確認は無料です。