この記事の結論
迷ったら「そのまま売り出してから考える」が基本です。古家付きのまま売れば、解体費を先に出さずに済み、固定資産税も上がらず、リフォームして住みたい買主と建て替えたい買主の両方に売れます。壊してから売る方が向いているのは、建物が傷みすぎて内覧に耐えない、倒壊や近隣への危険がある、土地を探している買主が多い立地で更地の方が早く売れる、といった場合です。壊すなら、売れる見込みを確認してから、1月1日をまたがない時期に壊すのが鉄則です。
古い空き家を売るとき、「壊してきれいにした方が売れるのでは」と考える方は多いです。実際、更地の方が売れやすい立地もあります。ただ、先に壊して失敗するケースも少なくありません。解体費と固定資産税、そして「誰が買うのか」で比べると、答えはかなりはっきりします。
2つの売り方を並べる
| 比べる点 | 古家付きのまま売る | 解体して更地で売る |
|---|---|---|
| 解体費 | かからない(買主が負担し、その分を価格で調整することが多い) | 売主が先に払う |
| 固定資産税 | 住宅用地の特例が続く | 特例が外れ、翌年度から土地分が上がる(最大6倍) |
| 買主 | リフォームして住む人、建て替える人、買取業者 | 建て替える人、建築会社 |
| 売れるまでの期間 | 建物の状態次第。傷みが激しいと長引く | 土地需要のある立地なら早い |
| 売った後の責任 | 建物の不具合について「現況のまま・責任を負わない」条件にしやすい | 地中から古い基礎やごみが出た場合の責任に注意 |
| やり直し | 売れなければ、後から壊す選択肢が残る | 壊したら戻せない |
表の最後の行が大事です。古家付きで売り出して反応が悪ければ、そこで壊すことを考えれば間に合います。逆に、先に壊して「建物付きで欲しかった買主」を逃すと、取り返しがつきません。
判断を分ける5つのポイント
1. 建物を使いたい買主がいるか
名古屋市内では、築40年を超える家でも、立地が良ければ「安く買ってリフォームして住みたい」という買主がいます。昭和の木造でも、柱や基礎がしっかりしていて、水まわりを直せば住める家は、建物付きの方が買主の幅が広がります。逆に、雨漏りが長く続いて柱が傷んでいる、傾いている、シロアリの被害がある、といった家は、建物が価格を下げる要因になります。
2. 立地が「土地として欲しい」場所か
駅に近い、道路が広い、形の良い土地で、周辺で新築が建っている地域は、建て替え前提の買主や建築会社が更地を探しています。こうした場所では、更地の方が早く、条件よく売れることがあります。ただし、建築会社は古家付きでも自分で壊して買うことが多いので、壊していないことが致命的になるわけではありません。
3. 解体費をいったん払えるか
解体費は売主が先に払います。構造・大きさ・道路の広さ・家財の有無で大きく変わり、家財が残っていると処分費も加わります。売れる前にこの費用を出す余裕がない場合、古家付きで売るか、買取で解体ごと引き受けてもらう方が現実的です。
4. 固定資産税の「1月1日」
固定資産税は、毎年1月1日時点の状態で決まります。12月に壊して1月1日に更地になっていると、その年度から住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税が上がります。逆に1月2日以降に壊せば、その年度は特例が続きます。壊すなら「年明けに壊して、その年のうちに売る」のが、税金の面ではいちばん無駄がありません。
5. 相続した空き家の3,000万円特別控除
亡くなった親が一人で住んでいた家を相続して売る場合、要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特例があります。この特例は、1981年5月以前に建てられた家を「耐震改修して売る」か「解体して土地で売る」ことが条件です。古い家をそのまま売るだけでは使えませんが、売った後に買主が一定期間内に耐震改修や解体を行う場合も対象になる取り扱いがあります。どちらの売り方で特例が使えるかは、売り方を決める前に税理士に確認が必要です。当社からご紹介します。
当社の場合
ご相談では、「古家付きで売った場合」「解体して売った場合」「買取で解体ごと引き受けてもらう場合」の3通りについて、解体費・固定資産税の変化・想定価格・売れるまでの期間を並べてお渡しします。手元に残る額で比べると、多くの場合は「まず古家付きで売り出す」が最も無駄がありません。壊した方がいい家は、その理由を写真で示してお伝えします。
壊すか、そのまま売るか、迷っている方へ
家の状態と立地を見て、3通りの手取りを並べてお伝えします。解体業者に声をかける前に、一度ご相談ください。現地確認は無料です。
そのまま売る方が向いている家/壊した方が向いている家
| そのまま売る方が向いている | 壊した方が向いている |
|---|---|
| 柱・基礎がしっかりしていて、水まわりを直せば住める | 雨漏り・シロアリ・傾きで建物が使えない |
| 解体費を先に出す余裕がない | 屋根や外壁が落ちかけ、近隣に危険がある(名古屋市の除却費補助の対象になることも) |
| 売れるまで時間がかかりそうで、その間の税金を抑えたい | 土地需要の強い立地で、建て替え用地として早く売りたい |
| 家財が残っていて、片付けと解体を同時に進めるのが難しい | 建物があることで内覧の印象が極端に悪い |
そのまま売るときの工夫
- 「古家付き土地」として売り出す。建物に価値を付けず、土地の価格で売り出す方法です。買主は「住む」「壊す」を自分で選べます。
- 建物の責任を負わない条件にする。古い建物は、売った後に雨漏りやシロアリが見つかることがあります。売主が個人の場合、契約で「建物は現況のまま、不具合の責任は負わない」と定めることができます。当社では、この条件を明確にした契約書でお手伝いしています。
- 解体費の見積もりを用意しておく。買主が「壊したらいくらかかるか」を知りたがるので、見積もりがあると話が早く進みます。
- 家財は残したままでも売れる。買取なら家財ごと引き取りが一般的です。実家の片付け費用はどう決まる?も参考にしてください。
壊すときの順番
- 売れる見込みを確認する:更地でいくら、どのくらいの期間で売れそうか。
- 名古屋市の補助金が使えるか確認する:危険な家なら除却費補助(最大80万円)の対象になることがあります。工事の前に申請が必要です。名古屋市の空き家補助金まとめ
- 家財を片付ける:解体と同時でもよいが、先に貴重品と思い出の品を取り出す。
- 解体業者の相見積もり:アスベストの有無、地中の古い基礎の扱いを確認。
- 1月1日をまたがない時期に工事:年明けに壊してその年のうちに売るのが理想。
- 建物滅失登記:解体後1か月以内に。
当社の場合
当社で売却をお受けする場合、古家付きで売り出しながら解体の見積もりも取っておき、反応を見て「このまま売るか、壊してから売るか」を一緒に決めます。壊すと決めたら、補助金の確認、業者の手配、1月1日を避けた工期の調整、解体後の販売までを同じ担当者が進めます。管理をお任せいただいている家は、毎月の報告書で建物の傷み具合が分かっているので、判断が早くなります。
まとめ:相談すると何が分かるか
迷ったら、まず古家付きで売り出す。壊すのは、建物が使えない、危険がある、土地需要が強い立地で更地の方が明らかに早い、のいずれかの場合で、売れる見込みを確認してから、1月1日をまたがない時期に。これが無駄の少ない順番です。
名古屋空き家相談室にご相談いただくと、次のことが分かります。
- 古家付き・更地・買取の3通りの手取りの比較
- 建物を使いたい買主がいそうか、土地として売る方が早いか
- 解体する場合の補助金の見込みと、税金の上がらない時期
- 相続空き家の3,000万円控除が使えそうか(税理士のご紹介)
初回の現地確認と相談は無料です。壊す前に、一度見せてください。