「隣の空き家の木が伸びて、うちの敷地に枝や落ち葉が入ってくる」「台風のたびに、隣の空き家の屋根がはがれて飛んでこないか心配」。隣の家が空き家になり、手入れがされないまま年月がたつと、草木やごみ、建物の傷みが、まわりの家の暮らしに影響します。持ち主がわからず、誰に言えばいいのか迷う人も少なくありません。
この記事では、隣の空き家に困ったときに、所有者への連絡、名古屋市への相談、法律の制度をどう使うかを、順を追って解説します。
この記事の結論
まず、困っていることを写真と日付で記録し、登記簿で所有者を確かめて、手紙などで直接お願いします。所有者がわからない、連絡しても対応してもらえない場合は、名古屋市の空き家の担当や区役所に相談します。市は所有者を調べて、管理するよう助言や指導をします。越境した枝は、所有者に切るよう求めても対応されない場合などに、自分で切れることがあります。建物が傷んで被害が出るおそれがある場合は、裁判所に管理人を選んでもらう管理不全建物管理命令の制度もあります。
まず、何から始める?
最初に、隣の空き家に困ったときに自分でできることを確認していきます。
困っていることを記録する
伸びた枝や草、壊れかけた屋根や塀、たまったごみ、虫やネズミなど、困っていることを写真に撮り、日付と一緒に残しておきます。所有者や市に相談するときに、何が、いつから、どの程度困っているかを伝えやすくなります。
所有者は、どう調べる?
隣の空き家の土地や建物の登記簿は、法務局で誰でも取れます。登記簿には所有者の名前と住所が書かれています。ただし、所有者が亡くなっていて名義が変わっていない場合や、住所が古いままの場合もあります。登記簿の取り方は実家の登記簿の取り方と見方で解説しています。
所有者に、どう伝える?
所有者の住所がわかれば、困っていることと、してほしいことを手紙で伝えます。責める書き方ではなく、写真を添えて、具体的にお願いする方が、対応してもらいやすくなります。近所の人や町内会が、所有者の親族の連絡先を知っていることもあります。
自分で手を出していい?
隣の空き家の敷地に入ったり、建物や木に手を加えたりするのは、原則として所有者の許可が必要です。困っているからといって、勝手に入って片付けたり、物を処分したりするのは避けます。越境した枝のように、決まりに沿って自分で対応できる場合については、あとで説明します。
名古屋市には、どう相談する?
所有者に連絡がつかない、対応してもらえない場合の、名古屋市への相談の仕方を確認していきます。
相談の窓口は?
名古屋市では、空き家の対策をスポーツ市民局の地域振興課が担当しています。空き家がある区の区役所に相談する方法もあります。相談するときは、空き家の場所、困っていること、記録した写真、わかっていれば所有者の情報を伝えます。
市は、何をしてくれる?
市は、空き家の様子を確かめ、固定資産税の情報などで所有者を調べて、管理するよう助言や指導をします。市が直接、空き家の木を切ったり、建物を直したりするわけではなく、所有者に対応を求めるのが基本です。
管理不全空家や特定空家とは?
管理が行き届かず、このままでは危なくなるおそれのある空き家は、管理不全空家として、市から指導や勧告を受けることがあります。倒れるおそれがあるなど、さらに状態が悪い空き家は特定空家として、命令や、市が所有者の代わりに取り壊す代執行の対象になることがあります。勧告を受けると、土地の固定資産税を下げる特例が使えなくなります。流れは名古屋市で「特定空家」に指定されるとどうなる?で、税金の仕組みは空き家を放置すると固定資産税が上がる?で解説しています。
ハチや害虫は?
隣の空き家にハチの巣ができている場合は、所有者に連絡するとともに、区を担当する保健センターに相談します。名古屋市は巣の除去は行っていませんが、除去の方法などの相談に応じています。対応の考え方は空き家にハチの巣ができたらで解説しています。
ごみが捨てられている場合は?
隣の空き家の敷地に、まわりからごみが捨てられて増えていく場合は、所有者に知らせるとともに、空き家がある区を担当する環境事業所に相談します。ごみが増えると、においや虫、火事の心配も出てきます。空き家にごみを捨てられたときの考え方は空き家にごみを捨てられたら。名古屋での対応で解説しています。
当社の場合
ご自身の実家が空き家になっている方には、外まわりの見回りを月4,000円(税別)からお受けしています。草木の伸び具合や、塀や屋根の傷みを確かめ、写真付きの報告書でお伝えします。隣の方からの苦情が来る前に気づけるようにします。
法律の制度は、どう使う?
越境した枝の扱いと、裁判所に管理人を選んでもらう制度を確認していきます。
越境した枝は、切っていい?
2023年4月から、隣の木の枝が境界を越えている場合、所有者に切るよう求めても、相当の期間内に切ってもらえないとき、所有者がわからないとき、急いで切る必要があるときは、自分で切れるようになりました。根が越えている場合は、もともと自分で切れます。切る前に、越境の様子を写真で残しておきます。越境の考え方は隣との越境がある実家の売り方で解説しています。
管理不全建物管理命令とは?
2023年4月に始まった制度で、管理が行き届かない建物によって、自分の土地や家に被害が出るおそれがある場合に、利害関係のある人が地方裁判所に申し立てて、建物の管理人を選んでもらえます。選ばれた管理人は、建物の修理など、被害を防ぐための管理をします。土地についても、管理不全土地管理命令という同じ仕組みがあります。
使うときの注意は?
申し立てをするには、裁判所に費用を納める必要があり、管理人の報酬なども含めて負担が大きくなることがあります。手続きには時間もかかるため、まずは所有者への連絡や市への相談を進め、それでも解決しない場合に考える方法です。申し立てを考える場合は、弁護士に相談します。
所有者がわからない場合は?
所有者や相続人を調べても見つからない場合は、所有者不明建物管理命令という制度もあります。こちらも、利害関係のある人が地方裁判所に申し立てて、管理人を選んでもらう仕組みです。
当社の場合
空き家の実家を持ち続けるか手放すかで迷っている方には、売却や買取のご相談もお受けしています。遠方の方には、業者が草木の手入れなどに来るときの立ち会いを1回3,000円でお受けしています。
隣の空き家についてよくある質問
隣の空き家に困ったときに、よく聞かれる質問をまとめました。
落ち葉の掃除の費用を、所有者に請求できますか?
被害の程度によっては、所有者に費用を求めることも考えられますが、話し合いで決めるのが基本です。請求を考える場合は、記録した写真などをもとに、法律の専門家に相談します。
空き家に人が出入りしているようです。
知らない人の出入りや、不審な様子がある場合は、警察に相談します。空き家が狙われやすい理由は空き家が放火・不法侵入に狙われる理由で解説しています。
隣の空き家との境界がわかりません。
境界がはっきりしない場合は、土地家屋調査士に相談して確かめます。考え方は空き家の境界がわからないときは?で解説しています。
隣の空き家を買いたいです。
所有者に売る気があれば、隣の土地を買って、自分の敷地を広げる方法もあります。所有者の住所がわかれば、手紙で売る気があるかを聞いてみます。
自分の実家の草木で、苦情が来ました。
苦情が来た場合の対応は空き家の草木でご近所から苦情が来たらで、庭木を切る費用と時期は空き家の庭木を切るときの費用と時期で解説しています。
隣の空き家に困ったら、記録を残して所有者を確かめることから始めよう
隣の空き家に困ったときは、困っていることを写真と日付で記録し、登記簿で所有者を確かめて、手紙で具体的にお願いします。所有者に連絡がつかない、対応してもらえない場合は、名古屋市の空き家の担当や区役所に相談してください。越境した枝は決まりに沿って自分で切れる場合があり、建物の被害が心配な場合は、裁判所に管理人を選んでもらう制度もあります。
名古屋で空き家の実家の管理や売却でお困りの方は、名古屋空き家相談室(0120-337-900、10時から19時、年中無休)にご相談ください。初回の相談と現地確認は無料です。