「父が亡くなって実家の登記簿を取ったら、名義が祖父のままだった」「祖母の名義の土地に、父が家を建てていた」。親が住んでいた実家でも、土地や建物の名義が祖父母のまま残っていることがあります。このままでは売れないため、祖父母から親、親から自分へと、さかのぼって相続の手続きをする必要があります。
この記事では、祖父母の名義のままの実家を売るために、誰が相続人になるのか、どんな順番で何をするのか、費用や期限で気をつけることを解説します。
この記事の結論
祖父母の名義のままの実家は、祖父母の相続と親の相続が重なった数次相続の状態で、祖父母の相続人と、亡くなった相続人の相続人全員で話し合う必要があります。まず祖父母から今までの戸籍を集めて相続人を確かめ、遺産分割協議で実家を受け継ぐ人を決め、相続登記をしてから売ります。2024年3月からは戸籍を本籍地以外の窓口でもまとめて取れるようになりました。過去の相続も相続登記の義務の対象で、2027年3月31日が期限になる場合があります。途中で亡くなった人の名義にする登記の登録免許税がかからない措置もあります。
なぜ、祖父母の名義のまま残っている?
最初に、祖父母の名義のままになる理由と、そのままにしておくと何が起きるかを確認していきます。
どうして名義を変えていなかった?
2024年3月までは、相続登記に期限がなかったため、祖父母が亡くなったあとも、実際に住んでいた親が名義を変えないまま暮らしていた家は少なくありません。登記をしなくても住み続けられ、固定資産税も払えたため、手続きが後回しになりやすかったのです。
そのままだと、売れない?
はい、登記簿の持ち主が祖父母のままでは、買主に名義を移せないため売れません。売るには、祖父母から相続した人の名義に変える相続登記を先に済ませる必要があります。法務局から、長い間相続登記がされていないことの通知が届いて気づくこともあります。通知については名古屋市や法務局から空き家についての通知が届いたらで解説しています。
相続人は、誰になる?
祖父が亡くなったときの相続人は、祖母と、父やおじ、おばなど祖父の子どもです。そのうち父やおじが亡くなっていれば、その人の配偶者や子どもが、亡くなった人の立場を受け継いで相続人に加わります。これを数次相続といいます。世代が進むほど相続人が増え、いとこなど、ふだん付き合いのない親族が含まれることもあります。
売るまでに、何をする?
祖父母の名義のままの実家を売るまでの順番を確認していきます。
戸籍は、どう集める?
祖父母の出生から亡くなるまでの戸籍と、相続人それぞれの戸籍を集めて、相続人を確かめます。2024年3月からは、本籍地以外の市区町村の窓口でも、自分や配偶者、父母や祖父母、子どもの戸籍をまとめて請求できるようになりました。名古屋市なら区役所の窓口で請求できます。
ただし、この広域交付は本人が窓口に行く必要があり、郵送や代理人では使えません。また、おじやおば、いとこなど、兄弟姉妹や傍系の親族の戸籍は対象外のため、本籍地の市区町村に郵送で請求します。
遺産分割協議は、誰とする?
祖父母の相続人と、亡くなった相続人の相続人の全員で話し合い、実家を誰が受け継ぐかを決めます。一人でも欠けると協議は成立しません。全員が集まれない場合は、協議書を郵送で回して署名と実印の押印をもらい、印鑑証明書を添えてもらいます。協議書の書き方は実家を分ける遺産分割協議書の書き方と注意点で解説しています。
2023年4月からは、亡くなってから10年を過ぎた相続では、生前に受けた援助などを考えた分け方を主張できる期間に制限が設けられ、原則として法律で決まった割合を基本に分けることになりました。祖父母の相続のように古い相続では、この点も踏まえて話し合います。
相続登記は、何回する?
原則として、祖父母から親へ、親から自分へと、相続ごとに登記をします。途中の相続で受け継いだ人が一人だけに決まっている場合などは、登記を1回にまとめられることもあるため、司法書士に確かめます。相続登記の流れは相続した空き家の名義変更はいつまで?で解説しています。
当社の場合
祖父母の名義のままの実家のご相談では、登記簿で今の名義と土地や建物の範囲を確かめ、相続の手続きが終わる時期に合わせて売り出しの準備を進めます。手続きが終わるまでの間、空き家の管理が必要な場合は、外まわりの見回りを月4,000円(税別)からお受けしています。
期限と費用で、気をつけることは?
相続登記の義務と、登記の費用で気をつけることを確認していきます。
相続登記の期限は、いつ?
2024年4月から相続登記が義務になり、2024年3月以前の相続も対象です。以前の相続は、相続を知った日から3年以内か、2027年3月31日のどちらか遅い日までに申請します。正当な理由なく申請しないと、10万円以下の過料の対象になります。相続人が多く、すぐに話し合いがまとまらない場合は、自分が相続人であることを申し出る相続人申告登記で、ひとまず義務を果たす方法もあります。
登録免許税がかからない場合は?
相続で土地を受け継いだ人が、登記をしないまま亡くなった場合、その人を名義人とする相続登記には、2027年3月31日まで登録免許税がかかりません。祖父の土地を父が受け継ぎ、登記しないまま父が亡くなった場合の、父の名義にする登記が当てはまります。また、価格が100万円以下の土地の相続登記も、同じ期限まで登録免許税がかかりません。
手続きにかかる時間は?
戸籍を集めるだけで数週間から数か月かかることがあり、相続人が多い場合や、連絡先がわからない相続人がいる場合は、さらに時間がかかります。売りたい時期が決まっているなら、早めに手続きを始めます。連絡がつかない相続人がいる場合の考え方は共有名義の空き家を売るには?で解説しています。
当社の場合
相続人が多く、遠方にお住まいの方が含まれる場合は、売る価格の見込みと手取りを書面にまとめ、皆さまに同じ内容をお送りします。話し合いの材料としてお使いいただけます。早く手放したい方には、買取のご相談もお受けしています。
祖父母の名義の実家についてよくある質問
祖父母の名義のままの実家について、よく聞かれる質問をまとめました。
付き合いのない親族にも、連絡しないといけませんか?
はい、相続人である以上、遺産分割協議には全員の合意が必要です。いきなり書類を送ると警戒されることがあるため、事情を説明する手紙を添え、実家の価格の見込みや、どのように分けたいかをわかりやすく伝えます。遠方の親族との進め方は兄弟が遠方に分かれて住む実家の話し合いで解説しています。
相続人の中に、海外に住んでいる人がいます。
海外に住んでいる相続人は、印鑑証明書の代わりに、住んでいる国の日本の大使館や領事館でサイン証明を取ってもらいます。手続きは相続人に海外在住者がいるときの実家の手続きで解説しています。
祖父母の権利証が見つかりません。
相続登記では、亡くなった人の権利証は原則として必要ありません。権利証が必要になるのは、相続登記のあとに売るときで、そのときは相続登記で新しく発行される登記識別情報を使います。権利証の扱いは実家の権利証が見つからないときの売り方で解説しています。
建物は親の名義で、土地だけが祖父の名義です。
建物は親から、土地は祖父から、それぞれ相続の手続きをします。土地の相続人には、親以外のおじやおばも含まれるため、土地を受け継ぐ人を決める話し合いが必要です。建物が登記されていない場合は登記されていない建物がある実家の売り方で解説しています。
手続きが大変なので、相続放棄をしたいです。
相続放棄は、自分が相続人になったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に申し立てます。祖父母の相続でも、自分が相続人になったと知った時から数えます。ただし、放棄すると実家以外の財産も受け継げません。考え方は相続放棄すれば空き家の管理はしなくていい?で解説しています。
祖父母の名義のままの実家は、戸籍を集めて相続人を確かめることから始めよう
祖父母の名義のままの実家は、祖父母の相続人と、亡くなった相続人の相続人の全員で遺産分割協議をし、相続登記をしてから売ります。戸籍は2024年3月から本籍地以外の窓口でもまとめて取れます。過去の相続も相続登記の義務の対象で、2027年3月31日が期限になる場合があり、途中で亡くなった人の名義にする登記には登録免許税がかからない措置もあります。売りたい時期から逆算して、早めに手続きを始めてください。
名古屋の祖父母の名義のままの実家でお困りの方は、名古屋空き家相談室(0120-337-900、10時から19時、年中無休)にご相談ください。初回の相談と現地確認は無料です。