「兄は東京、自分は大阪、妹だけが名古屋に残っていて、実家の話をする機会がない」「お盆に集まっても、実家をどうするかの話になると、結論が出ないまま解散してしまう」。兄弟が離れて暮らしていると、実家のことを決めるのは、思っている以上に難しいものです。
この記事では、兄弟が遠方に分かれて住んでいるときに実家の話し合いが進まない理由、話し合いの前にそろえる資料、オンラインで決めていく順番、窓口役と費用の分け方、まとまらないときの方法を解説します。
この記事の結論
兄弟が離れて住んでいると、実家の状態や費用を知っている人と知らない人に分かれ、話し合いがかみ合いません。話し合いの前に、登記事項証明書、固定資産税の課税明細書、査定価格、年間の維持費、建物の写真を全員で共有します。そのうえで、持ち続けるか手放すか、いつまでに決めるか、誰が窓口になるか、費用をどう分けるかの順で、ビデオ通話などで決めていきます。決めたことは文章にして全員で共有し、税金の特例などの期限から逆算して締め切りを置くと、先延ばしを防げます。
なぜ、遠方の兄弟の話し合いは進まない?
最初に、離れて住む兄弟の話し合いが止まりやすい理由を確認していきます。
知っていることに、差がある?
名古屋に住む兄弟は、実家の傷み具合やご近所の様子、毎年の固定資産税の額を知っていますが、遠方に住む兄弟は、帰省のときの印象しか持っていないことがよくあります。知っていることが違うと、「まだ住める」「早く手放すべき」と意見が分かれます。
実家の今の状態を全員が同じように知ることが、話し合いの出発点になります。
負担に、偏りがある?
近くに住む兄弟が、風通しや草刈り、郵便物の確認を引き受けていることが多く、その手間や交通費は表に出にくいものです。負担している側は不公平だと感じ、遠方の側は任せきりになっていることに気づいていない、というすれ違いが起きます。
思い出のある家を手放すことに、気持ちが追いつかない兄弟がいることもあります。一度の話し合いで決めようとせず、段階を分けて進めます。
集まる機会が、限られている?
全員がそろうのが、お盆やお正月、法事のときだけという家族も多くあります。限られた時間の中で、ほかの話題もある席では、実家の話は後回しになりがちです。
そのまま何年も過ぎると、実家の傷みが進み、相続の手続きや税金の特例の期限も近づきます。実家を持ち続けると年間いくらかかるかは空き家を持ち続けると年間いくらかかる?で解説しています。
話し合いの前に、何をそろえる?
全員が同じ情報をもとに話し合うための準備を確認していきます。
共有しておきたい資料は?
話し合いの前に、次のような資料をそろえ、全員に同じものを送っておきます。
| 資料 | わかること | 取り方 |
|---|---|---|
| 登記事項証明書 | 名義、土地と建物の面積 | 法務局の窓口やオンライン |
| 固定資産税の課税明細書 | 毎年の固定資産税、評価額 | 名古屋市から届く納税通知書 |
| 査定の結果 | 今売るといくらになりそうか | 不動産会社に依頼 |
| 年間の維持費の一覧 | 持ち続けると年間いくらかかるか | 税金、保険、光熱費、管理費を集計 |
| 建物と庭の写真 | 傷み具合、家財の量 | 近くに住む兄弟や管理会社が撮影 |
資料は、数字だけでなく写真があると、遠方の兄弟にも実家の今の様子が伝わります。
選択肢は、何を並べる?
資料がそろったら、売る、貸す、誰かが住む、当面は持ち続けるといった選択肢ごとに、手元に残るお金と、かかる手間を並べます。どれかを最初から押しつけず、比べられる形にしておくと、意見の違う兄弟も話に乗りやすくなります。
分け方の比べ方は相続した空き家を兄弟で揉めずに決める方法で解説しています。
親が元気なうちに話すなら?
親が元気なうちに、親の希望を聞いておくと、兄弟の話し合いはまとまりやすくなります。施設に入ったあとの実家をどうするか、売ってよいかを、親を交えて話しておきます。
親が生きているうちに売る方法は親が元気なうちに実家を売るには?で解説しています。
当社の場合
ご兄弟で話し合う前の段階で、実家の査定価格、年間の維持費の見込み、建物の傷みを写真付きでまとめ、ご兄弟全員に同じ内容でお送りしています。売る場合、持ち続ける場合の手取りや費用も並べてお示しするため、話し合いの材料としてお使いいただけます。
話し合いは、どう進める?
離れて住む兄弟が、実際に決めていく進め方を確認していきます。
決める順番は?
一度に全部を決めようとすると、まとまりません。持ち続けるか手放すか、いつまでに決めるか、誰が窓口になるか、費用をどう分けるか、の順で、一つずつ決めていきます。
ビデオ通話なら、全員が集まらなくても話し合えます。1回の時間を決め、その回で決めることを事前に伝えておくと、話がそれにくくなります。決めたことは、メールやメッセージで文章にして全員で共有し、後から「言った、言わない」にならないようにします。
期限は、どう決める?
話し合いの締め切りは、手続きや税金の期限から逆算して決めます。相続登記は相続を知った日から3年以内、相続税がかかる場合の申告は10か月以内です。相続した空き家の3,000万円控除は、相続から3年を経過する年の12月31日までに売る必要があります。
「次のお正月までに方針を決める」のように、家族が集まる時期を区切りにする方法もあります。期限の一覧は親が亡くなったあと、名古屋の実家はどうする?で解説しています。
窓口役は、誰がなる?
役所や不動産会社とのやり取りは、一人を窓口に決めると進めやすくなります。名古屋の近くに住む兄弟が引き受けることが多いものの、負担が偏らないよう、交通費や手間をどう扱うかも先に決めておきます。
窓口役が受けた連絡は、ほかの兄弟にも同じ内容で伝え、一人で決めないことを約束しておくと、ほかの兄弟も任せやすくなります。
決まるまでの費用と管理は、どうする?
話し合いが続く間の費用と管理の扱いを確認していきます。
固定資産税や管理費は、誰が払う?
決まるまでの間の固定資産税や火災保険料、光熱費、管理費は、いったん窓口役などが立て替えることが多くあります。立て替えた費用は、領収書とあわせて記録しておき、売ったときの代金や、相続の分け方の中で精算すると決めておきます。
売却代金から費用を精算する方法は実家の片付け費用は売却代金から払える?で解説しています。
管理は、誰がする?
近くに住む兄弟だけに管理を任せると、負担が偏ります。管理を外に頼み、その費用を兄弟で分ければ、負担の差が小さくなります。報告を写真付きで全員に共有してもらえば、遠方の兄弟も実家の状態を知れます。
管理を誰に頼むかは名古屋の実家の管理は誰に頼む?で解説しています。
話し合いがまとまらないときは?
兄弟だけではまとまらない場合は、専門家に入ってもらう方法があります。相続の分け方で争いになった場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を使えます。調停は、原則として相手方の一人の住所地の家庭裁判所に申し立てますが、遠方の人が電話やウェブ会議で参加できる場合もあります。
兄弟の一人が反対している場合の進め方は共有名義の空き家を売るには?で解説しています。
当社の場合
売ることが決まったら、窓口のご兄弟を通して売却を進め、査定から引き渡しまでの経過は、ほかのご兄弟にも同じ内容でお伝えします。遠方のご兄弟も、電話と郵送で手続きを進められます。決まるまでの間の管理は、外まわりの見回りを月4,000円(税別)から、写真付きの報告書でお受けしています。
兄弟で実家を売ると決めた方へ
窓口のご兄弟を通して売却を進め、ほかのご兄弟にも同じ内容で経過をお伝えします。遠方の方も電話で進められます。相談は無料です。
遠方の兄弟との実家の話し合いについてよくある質問
兄弟の一人が、話し合いに応じてくれません。
まずは、資料を送って実家の今の状態と費用を知ってもらい、返事の期限を決めて連絡します。それでも応じない場合は、専門家を通して連絡する、家庭裁判所の調停を使うといった方法があります。
実家に住みたいという兄弟がいます。
住みたい兄弟が実家を受け継ぎ、ほかの兄弟にお金を払う方法や、家賃を払って住む方法があります。払う金額の目安として、査定価格を使うと公平に決めやすくなります。
近くに住む自分だけが管理していて、不公平に感じます。
管理にかかった時間や交通費を記録し、話し合いの場で共有します。管理を外に頼んで費用を兄弟で分ける、手間の分を分け方で考慮するといった方法を提案すると、話が進みやすくなります。
実家の思い出の品は、どう分けますか?
アルバムや形見の品は、写真に撮って全員で共有し、ほしい物を出し合ってから分けます。遠方の兄弟の分は、宅配で送る方法もあります。片付けの前に取り出しておく物は実家の片付けで必ず取り出す物リストで解説しています。
名古屋に一度も来られない兄弟がいても、売れますか?
はい、売れます。遺産分割協議書や売買の書類は郵送でやり取りでき、代表の兄弟が実家を受け継いで売れば、ほかの兄弟は協議書への署名と押印だけで済みます。手順は名古屋に一度も行かずに実家の空き家を売るには?で解説しています。
離れて住む兄弟の実家の話し合いは、同じ資料を全員で見ることから始めよう
兄弟が離れて住んでいると、実家について知っていることと負担に差が生まれ、話し合いが進みにくくなります。登記事項証明書や課税明細書、査定価格、維持費、写真を全員で共有し、持ち続けるか手放すか、期限、窓口役、費用の分け方の順で決めていきます。決めたことは文章で共有し、手続きの期限から逆算して締め切りを置いてください。
離れて住むご兄弟との名古屋の実家のことでお困りの方は、名古屋空き家相談室(0120-337-900、10時から19時、年中無休)にご相談ください。初回の相談と現地確認は無料です。