「実家の引き出しや押し入れから、何十年分もの書類が出てきた」「どれを捨てていいのかわからず、全部持ち帰るしかない」。親が残した書類には、相続や実家の売却で必要になる物と、もう使わない物が混ざっています。大事な書類を捨ててしまうと、あとで税金が高くなったり、手続きが進まなくなったりすることがあります。
この記事では、実家の片付けで出てくる親の書類を、残す物と処分してよい物に分ける目安と、整理の手順を解説します。
この記事の結論
家の権利証、土地や家を買ったときの契約書、建築の書類は、実家を売ったあとの税金の申告まで必要になるため、必ず残します。親の税金の申告書や相続税の申告の書類、通帳は、少なくとも5年、できれば7年ほど取っておきます。保険証券や年金の書類は、請求や手続きが終わるまで残します。公共料金の古い領収書や、使わない家電の説明書などは処分してかまいません。迷う書類は箱にまとめて持ち帰り、一覧を作ってから判断します。処分するときは、個人情報が読めないようにします。
まず、何から始める?
最初に、親の書類を整理するときの手順を確認していきます。
その場で捨てない
実家の片付けでは、書類を一枚ずつ読んで判断していると時間が足りません。書類が見つかったら、その場では捨てずに、段ボールにまとめていきます。箱には、どの部屋のどこから出てきたかを書いておくと、あとで探しやすくなります。片付けで取り出す物は実家の片付けで必ず取り出す物リストで解説しています。
種類ごとに分ける
持ち帰った書類は、家と土地、税金、お金(通帳や証券)、保険と年金、医療、そのほかの種類に分けます。分けたら、書類の名前と年、どこに保管したかを一覧にして、兄弟とも共有します。
大事な書類は、どこに挟まっている?
大事な書類は、仏壇の引き出しや、たんすの奥、本の間、金庫の中などに保管されていることがよくあります。封筒の中まで確かめてから、分け始めます。金庫が見つかった場合の扱いは開かない金庫や貸金庫が見つかったらで解説しています。
親が元気なうちなら?
親が元気なうちに、大事な書類の置き場所を一緒に確かめておくと、あとで探す手間が大きく減ります。権利証や保険証券、通帳の場所、使っている銀行や証券会社を、メモにして家族で共有しておきます。
どの書類を、いつまで残す?
書類の種類ごとに、残す期間の目安を確認していきます。
家と土地の書類は?
権利証(登記済証や登記識別情報)、土地や家を買ったときの売買契約書と領収書、家を建てたときの請負契約書、設計図や建築確認の書類、測量図は、必ず残します。実家を売るときの税金の計算や、買主への説明に使います。親が買った価格がわかる書類がないと、税金が高くなることがあります。考え方は親が買った値段がわからない実家の取得費はどうなる?で解説しています。
税金の書類は?
親の確定申告書の控えや、亡くなったあとの準確定申告の書類、相続税の申告書は、少なくとも5年は残します。税務署が申告の内容を見直せる期間は原則5年で、偽りなどがある場合は7年とされているためです。固定資産税の通知書も、相続や売却のときの資料になります。
通帳とお金の書類は?
親の通帳は、相続財産の確かめや、遺産分割の話し合いで使います。相続税の申告が必要な場合は、過去のお金の出入りを確かめられることもあるため、相続の手続きが終わったあとも数年は残します。株や投資信託の取引の報告書も同じです。
保険と年金の書類は?
生命保険の保険金は、請求できる期間が決まっているため、保険証券は請求が終わるまで残します。年金の書類は、年金事務所への届け出や、親が受け取っていなかった年金の請求が終わるまで残します。
医療の書類は?
亡くなった年の医療費の領収書は、準確定申告で医療費控除を受けるときに使います。申告が済むまで残し、その後も申告書と一緒に保管します。介護サービスの領収書も同じです。
カードや身分証は?
クレジットカードや会員証、診察券は、解約や退会の手続きが済んでから処分します。健康保険証や運転免許証など、返す手続きが必要な物もあるため、区役所などの届け出の案内で確かめてから処分します。
親が事業をしていた場合は?
親が店や事業をしていた場合は、帳簿や決算の書類、取引先との契約書も出てきます。準確定申告や、事業をやめる手続きに使うため、手続きが終わるまで残し、その後も数年は保管します。
当社の場合
実家の売却のご相談では、残っている家と土地の書類を一緒に確かめ、売るときに使う書類と、買主にお渡しする書類を整理してお伝えします。遠方の方の片付けでは、業者の作業の立ち会いを1回3,000円でお受けしています。
売ったあとと、処分は?
実家を売ったあとも残す書類と、処分するときの注意を確認していきます。
売ったあとも、何を残す?
実家を売った翌年には、確定申告をします。売買契約書、売った代金と費用の領収書、親が買ったときの書類、空き家の3,000万円控除の確認書などは、申告のあとも5年以上残します。建築の図面や設備の説明書など、家に関する書類は、買主に引き渡すことがあります。申告の流れは空き家を売った翌年の確定申告で、売ったあとの手続きは実家を売ったあとにやることで解説しています。
残す書類は、どう保管する?
残す書類は、種類ごとにファイルや箱に分け、表に中身を書いておきます。権利証や契約書の原本は一か所にまとめ、湿気や火事に気をつけて保管します。誰が何を持っているかを、兄弟と共有しておきます。
処分してよい書類は?
何年も前の公共料金の領収書や検針票、古いカタログや広告、もう持っていない家電の説明書、期限の切れた保証書などは、処分してかまいません。ただし、空き家の3,000万円控除を使う予定がある場合は、相続のあとの電気や水道の記録は残しておきます。
処分するときの注意は?
名前や住所、口座の番号などが書かれた書類は、シュレッダーにかけるか、読めないようにしてから出します。量が多い場合は、書類を溶かして処理する業者に頼む方法もあります。
当社の場合
売買が終わったら、契約書や精算書、仲介手数料の領収書など、翌年の確定申告で使う書類をまとめてお渡しします。片付けが進まない場合は、家財が残ったままの売却や、買取のご相談もお受けしています。
親の書類の整理についてよくある質問
実家の片付けで出てくる親の書類について、よく聞かれる質問をまとめました。
権利証が見つかりません。
権利証がなくても、相続登記はできます。実家を売るときは、別の方法で本人確認をして売れます。考え方は実家の権利証が見つからないときの売り方で解説しています。
建築確認の書類がありません。
建築確認や検査済証がない場合は、市役所で記録を確かめる方法があります。考え方は建築確認や検査済証がない実家は売れる?で解説しています。
書類をデータにして、紙は捨ててもいいですか?
税金の申告に使う書類は、原則として紙のまま残しておく方が安心です。権利証は、紙そのものが必要になることがあるため、捨てません。参考に見るだけの書類なら、スキャンしてデータにする方法もあります。
親の手紙や日記は?
手紙や日記は、書類とは別に、思い出の品として扱います。写真と一緒に整理する考え方は実家の写真やアルバムの整理のしかたで解説しています。
兄弟で、誰が書類を保管しますか?
相続の手続きを進める窓口役が、まとめて保管するのが一般的です。何をどこに保管しているかの一覧を兄弟で共有し、必要なときに見られるようにします。分担の決め方は実家の片付けを兄弟で分担するにはで解説しています。
親の書類は、捨てずに箱にまとめて、種類ごとに分けることから始めよう
実家の片付けで出てくる親の書類は、その場で捨てずに箱にまとめ、種類ごとに分けて一覧を作ります。家と土地の書類は売ったあとの申告まで、税金の書類と通帳は少なくとも5年、保険や年金の書類は手続きが終わるまで残してください。古い領収書や説明書は処分してかまいませんが、個人情報が読めないようにして出します。
名古屋の実家の片付けや売却でお困りの方は、名古屋空き家相談室(0120-337-900、10時から19時、年中無休)にご相談ください。初回の相談と現地確認は無料です。