「実家を売ろうとしたら、不動産会社から検査済証はありますかと聞かれた」「親の書類を探しても、建築確認の書類が見つからない」。古い家を売るときに、検査済証がないことがわかるのは珍しくありません。検査済証がなくても家は売れますが、買主の住宅ローンや、買ったあとの増築などに影響するため、売り方を考える必要があります。
この記事では、確認済証と検査済証の違い、検査済証がないときに困ること、名古屋市で記録を調べる方法、検査済証がない実家の売り方を解説します。
この記事の結論
検査済証は、建物が完成したときの検査に合格した証明で、1990年代までは完了検査を受けない家が多く、古い実家にないことはよくあります。検査済証がなくても売れますが、住宅ローンが使いにくくなるなど、買主が限られることがあります。まず親の書類を探し、見つからなければ名古屋市の台帳記載事項証明(1部300円)で、確認と検査を受けたかを調べます。そのうえで、現金で買う人や買取に売るか、古家付き土地として売るか、建築基準法に合っているかを調べてもらってから売るかを決めます。
検査済証がないと、何が困る?
最初に、建築確認の書類の種類と、ないときに起きることを確認していきます。
確認済証と検査済証は、どう違う?
家を建てる前に、設計が建築基準法に合っているかを役所や検査機関が確かめ、合格すると確認済証が出ます。古い家では「確認通知書」という名前のこともあります。家が完成したあとに、設計どおりに建てられたかを確かめる完了検査に合格すると、検査済証が出ます。
確認済証があっても、完了検査を受けていなければ検査済証はありません。この場合、完成した建物が設計どおりかどうかを、書類で示せない状態になります。
古い家に検査済証がないのは、珍しい?
いいえ、珍しくありません。国土交通省によると、完了検査を受けた建物の割合は、1998年度でも約38%、2004年度で約73%でした。昔は完了検査を受けないまま住み始める家が多く、とくに1990年代より前に建てられた実家は、検査済証がないことがよくあります。
検査済証がないと、なぜ売りにくい?
金融機関によっては、住宅ローンの審査で検査済証や、建築基準法に合っていることの証明を求めます。ローンを使えない買主は買えないため、買える人が限られます。また、買ったあとに増築や大がかりなリフォームをするときに、建築確認の手続きが進めにくくなることがあります。
2025年4月からは、木造2階建ての家でも、大がかりなリフォームに建築確認が必要になりました。家を直して住みたい買主ほど、検査済証の有無を気にするようになっています。
売る前に、何を確かめる?
検査済証がないとわかったら、どこまで記録が残っているかを確かめていきます。
親の書類のどこを探す?
確認済証や検査済証は、家を建てたときの設計図や、工務店との契約書と一緒にとじてあることが多くあります。家を買ったときの売買契約書や、住宅ローンの書類の束も探します。見つかった書類は、なくさないように一つにまとめておきます。実家の片付けで取り出す書類は実家の片付けで必ず取り出す物リストで解説しています。
名古屋市で、記録を調べるには?
書類が見つからない場合は、名古屋市住宅都市局建築審査課(052-972-2934)で、建築確認台帳記載事項証明を申請します。確認済証、中間検査の合格証、検査済証の番号と交付日が1枚にまとめて証明され、手数料は1部300円です。申請できるのは、建物の建築主か所有者です。
2026年7月からは、1992年4月1日以降に建築確認の申請があった建物が対象になりました。それより前に建てられた家は、記録で確かめられないことがあります。検査済証そのものは、なくしても再発行されませんが、この証明が代わりの資料になります。
あとから増築した部分はない?
建てたあとに部屋や車庫を増築していると、その部分は建築確認を受けていないことがあります。増築で、土地に対して建てられる広さ(建ぺい率や容積率)を超えていると、違反の状態になり、住宅ローンがさらに使いにくくなります。登記簿の床面積と、実際の家の広さが違っていないかを確かめます。
当社の場合
検査済証が見つからない実家のご相談では、お手元の書類と、名古屋市の台帳記載事項証明、登記簿の内容を突き合わせ、建築確認と増築の状況を整理してお伝えします。そのうえで、どの売り方なら買主が見つかりやすいかを一緒に考えます。
検査済証がない実家の売り方は?
検査済証がない実家は、建物の状態と買主の買い方に合わせて、売り方を選びます。
現金で買う人や、買取に売るなら?
住宅ローンを使わずに現金で買う人や、不動産会社の買取なら、検査済証がなくても取引が進みやすくなります。ただし、買取は仲介より価格が低くなるのが一般的です。比べ方は空き家は買取と仲介のどちらで売る?で解説しています。
古家付き土地として売るなら?
建物が古く、買主が解体して建て替える前提なら、古家付き土地として売る方法があります。建物の価値をほとんど見込まないため、検査済証の有無が価格に響きにくくなります。売り方は古家付き土地として売るとは?で解説しています。
建築基準法に合っているかを調べてもらうには?
建物をいかして中古住宅として売りたい場合は、建築士や指定確認検査機関に、今の建物が建築基準法に合っているかを調べてもらう方法があります。国土交通省は、検査済証のない建物を調べるための指針を示しています。図面がない場合は図面を作り直すところから始まるため、費用と時間がかかります。調べる費用と、売れる価格の上がり幅を比べて決めます。
買主には、何を伝える?
検査済証がないことや、増築部分が確認を受けていないことは、重要事項説明で買主に伝えます。知っている事実を伝えずに売ると、売ったあとで責任を問われることがあります。建物の不具合について売主が責任を負う範囲も、契約で決めておきます。考え方は古い空き家を売ったあとで不具合が見つかったら?で解説しています。
当社の場合
検査済証がない実家は、中古住宅として仲介で売る場合、古家付き土地として売る場合、買取の場合の手取りを並べてお伝えします。買主に伝える内容も、売り出しの前に整理して進めます。買取のご相談もお受けしています。
検査済証がない実家についてよくある質問
検査済証や確認済証が見つからない実家について、よく聞かれる質問をまとめました。
検査済証は、再発行できますか?
いいえ、検査済証は再発行されません。名古屋市の建築確認台帳記載事項証明で、検査済証が交付されたことと、その番号や日付を証明してもらえます。売るときは、この証明を検査済証の代わりの資料として使います。
違反建築と既存不適格は、どう違いますか?
違反建築は、建てたときや増築したときから法律に合っていない建物です。既存不適格は、建てたときは法律に合っていたものの、あとで法律が変わって今の基準に合わなくなった建物で、違反ではありません。既存不適格なら、建てたときの確認済証や検査済証が、そのことを示す資料になります。
確認済証もない場合は、どうなりますか?
確認済証もなく、名古屋市の記録でも確かめられない場合は、建築確認を受けずに建てた可能性や、記録が残っていない古い時期に建てた可能性があります。家を壊して建て替えるときは、新しい家として建築確認を受けるため、古家付き土地として売る方法が向いています。
再建築不可の家とは、違いますか?
はい、違います。再建築不可は、道路に2メートル以上接していないなど、土地の条件で新しい家を建てられない状態です。検査済証がないことは建物の書類の問題で、土地が道路に接していれば建て替えはできます。再建築不可の家の売り方は再建築不可の空き家を売るには?で解説しています。
旧耐震の家で、検査済証もありません。売れますか?
はい、売れます。ただし、住宅ローンや住宅ローン控除の条件が厳しくなるため、古家付き土地として売るか、買取を考えることが多くなります。旧耐震の家の売り方は旧耐震の空き家は売れる?で解説しています。
検査済証がない実家は、名古屋市の記録を調べることから始めよう
検査済証がなくても実家は売れますが、住宅ローンを使う買主が限られることがあります。まず親の書類を探し、見つからなければ名古屋市の建築確認台帳記載事項証明で、確認と検査を受けたかを調べます。増築部分の状況も確かめたうえで、買取や古家付き土地として売るか、建築基準法に合っているかを調べてから中古住宅として売るかを決めてください。
名古屋の検査済証がない実家の売却でお困りの方は、名古屋空き家相談室(0120-337-900、10時から19時、年中無休)にご相談ください。初回の相談と現地確認は無料です。