「誰も住んでいない実家に、毎年いくら払っているのかよくわからない」「税金だけなら払えるから、しばらくこのままでいいと思っている」と考える方は少なくありません。ただ、空き家にかかるお金は固定資産税だけではなく、保険、公共料金の基本料金、管理、修繕と、別々の請求書に分かれているため、合計を把握しないまま年月が過ぎやすくなります。
この記事では、空き家を持ち続けるとかかる費用を項目ごとに整理し、手元の書類で年間の合計を計算する方法と、名古屋で持ち続けるか手放すかを比べる考え方を解説します。
この記事の結論
空き家の維持費は、固定資産税と都市計画税、火災保険料、電気や水道の基本料金、管理の費用、草刈りや修繕の費用の5つに分けると計算できます。税金と保険、基本料金は毎年ほぼ同じ額がかかる一方、修繕費は台風や雨漏りがあった年に急に増えます。年間の合計に持ち続ける年数を掛け、その間に建物の価値が下がることも含めて、売った場合の手取りと比べるのが判断の基本です。名古屋市の都市計画税は、市街化区域にある家なら固定資産税とあわせてかかります。
空き家を持ち続けると、どんな費用がかかる?
最初に、空き家にかかる費用の全体像を確認していきましょう。
空き家の維持費は、何に分かれる?
空き家の維持費は、大きく5つに分かれます。毎年かかる税金、火災保険料、電気・水道・ガスの基本料金、管理の費用、そして草刈りや修繕などその年によって変わる費用です。
このうち税金は年に一度、納税通知書で届き、保険は年払いか月払い、公共料金は毎月の引き落としと、払い方がばらばらです。そのため、家計簿をつけていても空き家の分だけをまとめて見ることは少なく、合計を知って驚く方もいます。
住んでいないのに、毎年必ずかかるのはどれ?
住んでいなくても毎年必ずかかるのは、固定資産税と都市計画税です。家を持っている限り、使っていてもいなくても課税されます。
火災保険と公共料金の基本料金は、契約を続けている間かかります。解約すれば止まりますが、保険を外せば火事や台風の被害を自分で負うことになり、電気や水道を止めれば換気扇や掃除に使えなくなります。どれを残すかの考え方は空き家の電気・水道は解約していい?で解説しています。
名古屋の空き家の税金はいくら?
維持費のなかで最も大きくなりやすいのが税金です。
固定資産税と都市計画税は、どう決まる?
名古屋市では、固定資産税は課税標準額の1.4%、都市計画税は課税標準額の0.3%で計算します。都市計画税は市街化区域の土地と建物にかかり、市街化調整区域にある土地と建物にはかかりません。
土地には住宅用地の特例があり、住宅1戸につき200平方メートルまでの部分は、固定資産税の課税標準が6分の1、都市計画税は3分の1になります。200平方メートルを超える部分は、固定資産税が3分の1、都市計画税が3分の2です。
うちの空き家の税額は、どこを見ればわかる?
毎年春に届く固定資産税・都市計画税の納税通知書に、その年の税額が書かれています。土地と建物ごとの課税標準額も載っているため、税額の内訳もここで確認できます。
通知書は、相続人のうち代表の方に届くことが多く、ほかの兄弟姉妹は税額を知らないことがあります。持ち続けるかどうかを話し合う前に、通知書を家族で共有しておくと、話が具体的になります。
空き家のままだと、税金が上がることはある?
管理されていない空き家として名古屋市から勧告を受けると、住宅用地の特例が外れ、土地の税額が上がります。200平方メートル以下の部分なら、固定資産税の課税標準は6分の1から本来の額に戻ります。
逆にいえば、管理を続けていれば、建物がある限り特例はそのまま使えます。勧告までの流れと、特例が外れたときの計算は空き家を放置すると固定資産税が上がる?で解説しています。
税金以外に、空き家にかかる費用は?
税金以外の費用も、項目ごとに確認していきましょう。
空き家の火災保険料は、住んでいたときと同じ?
同じとは限りません。人が住まなくなった家は、保険会社によっては住宅物件ではなく一般物件として扱われ、保険料が上がることがあります。
また、空き家になったことを保険会社に伝えていないと、いざというときに保険金が支払われないおそれがあります。親が契約していた保険の名義と、空き家になったことを伝えたかどうかを確認してください。詳しくは空き家の火災保険に入れないと言われたらで解説しています。
電気・水道・ガスの基本料金は、止めたほうが安い?
使わない月でも、電気と水道は契約を続けていれば基本料金がかかります。ガスは、使う予定がなければ止めておくケースが多く見られます。
電気は、空き家なら大きな契約容量は必要ないため、契約アンペアを下げれば基本料金を抑えられます。水道は、掃除や草木の水やりに使うため残す方が多く、名古屋市では水道と下水道の基本料金が合わせて請求されます。
管理を人に頼むと、年間いくらかかる?
管理を頼む場合の費用は、内容と回数で決まります。名古屋空き家相談室の場合、外まわりの確認と郵便物の回収などを行う外まわりプランは月4,000円で年48,000円、室内の換気や通水まで行う室内プランは月8,000円で年96,000円です(税別)。
自分で通う場合は、管理を頼む費用はかかりませんが、往復の交通費と移動の時間がかかります。遠方から名古屋まで通う方は、交通費だけで委託費を上回ることもあるため、1回あたりの交通費に年間の回数を掛けて比べてください。料金の比べ方は空き家管理の費用相場と、月4,000円で何をしてもらえるかで解説しています。
草刈りや修繕には、どれくらい見ておけばいい?
草刈りと庭木の剪定は、庭の広さと木の高さで費用が変わり、名古屋では春から秋にかけて年に数回必要になる家が多くあります。自分で行えば道具代だけで済みますが、高い木や隣の敷地に伸びた枝は業者に頼むことになります。
修繕は、毎年かかるものではなく、台風で瓦がずれた、雨どいが外れた、雨漏りが見つかったといったときに、まとまった額が急に必要になります。築年数が古い家ほど起きやすいため、毎年の維持費とは別に、修繕の予備費を見ておくのが現実的です。
ほかに見落としやすい費用は?
見落としやすいのは、町内会費、浄化槽がある家の点検費用、防犯のための照明やセンサーの電気代などです。町内会費は、空き家になったあとも親の名前で払い続けているケースがあります。
また、郵便物の転送や、片付けのために帰省するたびにかかる交通費や宿泊費も、空き家を持っているからこそかかる費用です。家計からの支出として、年間の合計に入れておくと判断を誤りにくくなります。
当社の場合
維持費のご相談では、固定資産税の納税通知書、火災保険の証券、電気と水道の明細をお見せいただき、空き家にかかっている費用を1枚の表にまとめてお渡しします。契約アンペアの見直しや、使っていない契約の整理など、持ち続けながら費用を抑える方法もあわせてお伝えします。管理を当社に任せた場合と、ご自身で通う場合の比較も、交通費を入れて計算します。
空き家の維持費を把握したい方へ
納税通知書や保険証券をもとに、年間の維持費を1枚の表にまとめてお伝えします。遠方の方も書類の写真で進められます。相談は無料です。
空き家の年間コストを計算してみる
ここまでの費用を、手元の書類で合計していきます。
年間コストは、どの書類で計算できる?
年間コストは、次の表の項目ごとに書類を見て金額を書き出せば計算できます。
| 項目 | 金額の決まり方 | 確認する書類 |
|---|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 課税標準額×1.4%と0.3% | 納税通知書 |
| 火災保険料 | 建物の構造、補償内容、住宅か一般物件か | 保険証券、引き落としの明細 |
| 電気・水道・ガス | 契約容量や口径ごとの基本料金 | 検針票、引き落としの明細 |
| 管理の費用 | 委託なら月額×12、自分なら交通費×回数 | 委託の契約書、交通費の記録 |
| 草刈り・剪定 | 庭の広さ、木の高さ、回数 | 業者の請求書 |
| 修繕の予備費 | 築年数と建物の状態 | 過去の修理の請求書 |
| その他 | 町内会費、浄化槽の点検など | 引き落としの明細 |
このうち修繕の予備費以外は、過去1年分の明細を見ればほぼ正確な額がわかります。修繕は、過去数年の修理の記録があれば、その平均を目安にします。
兄弟姉妹で相続した場合、維持費はどう分ける?
法律上の決まった分け方はなく、話し合いで決めます。相続した割合で分ける方法が一般的ですが、実家の近くに住む人が管理の手間を負っているなら、その分を考えてお金の負担を減らす決め方もあります。
決めないまま代表の方だけが払い続けると、何年かたってから不公平だという話になりやすくなります。年間コストの表を作ったら、誰がどの項目を払うかも一緒に書き込み、家族で共有しておくと安心です。兄弟姉妹で相続した空き家の進め方は相続した空き家を兄弟で揉めずに決める方法で解説しています。
10年持ち続けると、いくらになる?
10年持ち続けた場合の費用は、年間コストに10を掛けた額に、その間の大きな修繕を足して考えます。築年数の古い家では、10年の間に屋根や外壁の補修が必要になる可能性が高くなります。
あわせて、建物の価値は年々下がるため、10年後に売る場合は、今売るより建物の分だけ価格が下がる傾向があります。持ち続ける費用は、払うお金だけでなく、この価値の下がり方も含めて見る必要があります。
持ち続けるか売るかは、どう比べればいい?
比べるときは、今売った場合の手取りと、何年か持ち続けてから売った場合の手取りから維持費を引いた額を並べます。持ち続ける間に家を使う予定がある、いずれ子どもが住むといった理由があれば、その価値も考えに入れます。
相続した空き家の場合は、3,000万円控除の期限を過ぎると、売ったときの税金が増えることがあります。期限については空き家は何年まで放置していい?で解説しています。
当社の場合
持ち続けるか売るかを迷っている方には、年間の維持費に加えて、今売った場合の価格の目安と、3年後、5年後に売った場合の考え方を並べてお伝えします。数字を見たうえで持ち続けると決めた方には、管理をお受けして費用を抑えながら見守ります。売ることを前提にしたご相談である必要はありません。
持ち続けるか売るかを数字で決めたい方へ
年間の維持費と、今売った場合の手取りを並べて比べます。名古屋に来られない方も電話と書類の写真で進められます。現地確認は無料です。
空き家の維持費についてよくある質問
空き家の固定資産税は、誰が払うのですか?
毎年1月1日時点の所有者が払います。相続登記がまだで親の名義のままの場合は、相続人のうち代表の方に納税通知書が届くことが多く、相続人全員が連帯して払う義務を負います。兄弟姉妹で負担を分けるなら、割合を決めておくと後でもめにくくなります。
維持費を少しでも減らす方法はありますか?
はい、いくつかあります。電気の契約アンペアを下げる、使わないガスを止める、火災保険の補償内容を空き家に合ったものに見直す、町内会費など不要になった支払いを整理するといった方法です。ただし、税金と保険は削りすぎると、勧告や被害のときに負担が大きくなるため、管理を続けて特例を守ることが前提になります。
空き家の維持費は、確定申告で経費にできますか?
必ずしもできるとは限りません。貸している家なら、固定資産税や管理費は不動産所得の経費になりますが、誰にも貸していない空き家の維持費は、原則として経費にはなりません。売ったときの税金の計算でも、毎年の維持費は差し引けないため、税理士に確認してください。当社から税理士をご紹介することもできます。
名古屋市外に住んでいても、管理だけ頼めますか?
はい、頼めます。名古屋空き家相談室では、遠方にお住まいの方からの管理のご依頼もお受けしています。巡回のたびに写真付きの報告をお送りするため、名古屋に来られなくても家の状態を確認できます。
維持費がかかりすぎるので、解体したほうが安くなりますか?
必ずしも安くなるとは限りません。解体すれば保険や管理の費用は減りますが、解体費が先にかかり、住宅用地の特例が外れて土地の税金が上がります。解体したあとに売るのか、更地のまま持つのかで結論が変わるため、解体費と税金の増え方を計算してから判断してください。
名古屋の空き家の維持費は、納税通知書を見ることから始めよう
空き家の維持費は、税金、保険、公共料金、管理、修繕に分かれて請求されるため、合計を知らないまま払い続けていることがあります。まず納税通知書と保険証券、公共料金の明細で年間の合計を出し、持ち続ける年数を掛けて、売った場合の手取りと比べてください。
名古屋の空き家の維持費を把握したい方、持ち続けるか迷っている方は、名古屋空き家相談室(0120-337-900、10時から19時、年中無休)にご相談ください。初回の相談と現地確認は無料です。