「買主が決まり、来週に契約と言われたが、契約書をどう読めばいいかわからない」「親の家なので、建物の古さで何か言われないか心配」。実家の売買契約書は、不動産会社が用意するひな形をもとに作られますが、手付金の扱いや売ったあとの責任の範囲など、条件は取引ごとに決めます。一度署名すると、あとから変えるのは難しくなります。
この記事では、実家を売るときに、売主として売買契約書で確かめておきたい点を、お金、引き渡し、売ったあとの責任、手続きの順に解説します。
この記事の結論
契約書は、署名の数日前までに案を受け取り、売主として次の点を確かめます。手付金の額と、手付を放棄したり倍額を返したりして解除できる期限。引き渡しの日と、売った日の扱いが税金の特例の期限に間に合うか。土地の面積を登記簿で決めるか測量で決めるか。固定資産税を精算する起算日。売ったあとの建物の不具合について、責任を負うかどうかと、その期間。家財を残すかどうか。古い実家では、売ったあとの責任の範囲と、告知書に書く内容がとくに大切になります。
お金に関わる項目は?
最初に、売買代金と手付金、精算など、お金に関わる項目を確認していきます。
手付金と、手付解除の期限は?
手付金は、契約のときに買主から売主に支払われるお金で、売買代金の一部にあてられます。額は売買代金の5%から10%ほどとすることが多くあります。契約書に定めた期限までなら、買主は手付金を放棄して、売主は受け取った手付金の倍額を返して、契約をやめられます。
期限が長すぎると、その間は相手の都合で解除されるおそれが残ります。期限の日付と、期限を過ぎたあとは違約金の扱いになることを確かめます。
固定資産税は、どう精算する?
固定資産税と都市計画税は、1月1日の持ち主にその年の分がかかるため、引き渡しの日を境に日割りで買主と精算するのが一般的です。日割りの起算日を1月1日とするか4月1日とするかは、取引によって異なるため、契約書でどちらになっているかを確かめます。精算金は、税金の計算では売った代金に含めます。
土地の面積は、登記簿と測量のどちらで決める?
登記簿の面積で代金を決め、あとで測量して面積が違っても精算しない売り方を公簿売買といいます。測量した面積で代金を決め、登記簿の面積と違えば1平方メートルあたりの単価で精算する売り方を実測売買といいます。古い実家では、登記簿の面積と実際の面積が違うことがあるため、どちらの売り方か、境界をどこまで示すかを確かめます。境界の確かめ方は空き家の境界がわからないときは?で解説しています。
契約書の印紙は、いくら?
売買契約書には印紙を貼ります。2027年3月31日までに作る契約書は軽減された税額で、売買代金が500万円を超え1,000万円以下なら5,000円、1,000万円を超え5,000万円以下なら1万円です。売主と買主がそれぞれ1通ずつ持つ場合は、それぞれの分に印紙が必要です。
引き渡しと、売ったあとの責任の項目は?
実家を売るときにとくに気をつけたい、引き渡しと売ったあとの責任の項目を確認していきます。
引き渡しの日は、特例の期限に間に合う?
相続した空き家の3,000万円控除や、マイホームの3,000万円特例には、いつまでに売るかの期限があります。売った日は、原則として引き渡しの日で判断しますが、契約の日を売った日として申告できる場合もあります。期限が近いときは、契約の日と引き渡しの日のどちらで期限に間に合うかを、契約の前に税務署で確かめておきます。期限の考え方は親と同居を始めたあとの実家はいつまでに売る?で解説しています。
売ったあとの不具合の責任は、どうなっている?
売ったあとで、雨漏りやシロアリの被害など、契約の内容と違う不具合が見つかったときに、売主が修理や代金の減額などに応じる責任を契約不適合責任といいます。売主が個人の場合は、責任を負わない、または引き渡しから3か月までに限るといった取り決めができます。古い実家では、責任を負わない条件にすることも多くあります。
ただし、売主が知っていた不具合を伝えずに売った場合は、責任を負わない取り決めがあっても責任を問われます。考え方は古い空き家を売ったあとで不具合が見つかったら?で解説しています。
告知書と付帯設備表には、何を書く?
告知書(物件状況報告書)には、雨漏りやシロアリの被害、給排水管の故障、近隣とのもめごとなど、売主が知っていることを書きます。付帯設備表には、エアコンや給湯器などの設備を残すかどうかと、故障の有無を書きます。空き家で売主が詳しく知らない場合は、知らないことは知らないと書き、わかる範囲で正直に伝えます。
家財は、残したまま引き渡せる?
家財や物置の中身を残したまま引き渡すかどうかは、契約書や特約に書いておきます。残す場合は、買主が処分することに合意しているか、その費用を誰が負うかを確かめます。何も書いていないと、空にして引き渡す前提とされることが多くあります。家財を残して売る方法は家財が残ったまま空き家を売る方法で解説しています。
当社の場合
売買契約の前に、契約書と重要事項説明書の案を売主さまにもお送りし、手付解除の期限、引き渡しの日、売ったあとの責任の範囲、家財の扱いなどを一つずつご説明します。遠方の方には、電話でご説明したうえで郵送で書類をやり取りします。
そのほかに、確かめておくことは?
買主の事情による解除や、天災の場合の取り決めも確かめていきます。
住宅ローン特約とは?
買主が住宅ローンを使う場合、決めた期日までにローンの承認が得られなければ、契約をなかったことにできる取り決めを住宅ローン特約といいます。この場合、売主は受け取った手付金を返します。期日がいつか、どの金融機関でいくら借りる予定かが書かれているかを確かめます。
違約金は、いくら?
手付解除の期限を過ぎてから、売主か買主のどちらかが約束を守らず契約が解除された場合は、相手に違約金を払います。売買代金の10%や20%と定めることが多くあります。売主の側でも、引き渡しまでに家財の片付けや境界の確認が間に合わないと、違約になるおそれがあるため、日程に無理がないかを確かめます。
引き渡しまでに、地震や台風で家が壊れたら?
引き渡しの前に、売主にも買主にも責任のない天災で家が壊れた場合の扱いを、危険負担といいます。多くの契約書では、売主が修理して引き渡すか、修理に大きな費用がかかるときは契約を解除できると定めています。引き渡しまでの間の火災保険が切れていないかも確かめます。火災保険については空き家の火災保険に入れないと言われたらで解説しています。
売買契約書についてよくある質問
実家の売買契約書について、よく聞かれる質問をまとめました。
契約書の案は、いつもらえますか?
不動産会社に頼めば、契約の数日前に案を送ってもらえます。当日に初めて読むと、気になる点があっても聞きにくくなるため、前もって受け取り、わからない言葉や条件に印をつけておきます。
兄弟の共有の実家ですが、全員が契約の場に行く必要がありますか?
共有の実家を売る場合は、共有者全員が売主として署名します。全員が同じ日に集まれない場合は、契約書を順番に回して署名する方法や、代理人に委任する方法があります。共有の実家の売り方は共有名義の空き家を売るには?で解説しています。
契約したあとで、条件を変えられますか?
売主と買主が合意すれば、覚書を作って条件を変えられます。ただし、相手が合意しなければ変えられないため、気になる条件は署名の前に話し合っておきます。
契約書は、いつまで保管すればいいですか?
売った翌年の確定申告で、売った金額や費用を示す書類として使います。申告のあとも、税務署から問い合わせがあったときのために、少なくとも数年は保管しておくと安心です。申告の流れは空き家を売った翌年の確定申告で解説しています。
契約から引き渡しまで、どのくらいかかりますか?
買主が住宅ローンを使う場合は、契約から1か月から2か月ほどで引き渡すことが多くあります。その間に、家財の片付けや電気、水道の手続きを済ませます。引き渡しまでの準備は実家の引き渡しまでにやることで解説しています。
実家の売買契約書は、署名の前に案を受け取って確かめることから始めよう
実家の売買契約書では、手付金と手付解除の期限、引き渡しの日と特例の期限、土地の面積の決め方、固定資産税の精算、売ったあとの責任の範囲、家財の扱いを確かめます。古い実家では、告知書に知っていることを正直に書き、責任を負う範囲を契約で決めておくことが、売ったあとのもめごとを防ぎます。署名の前に案を受け取り、わからない点は聞いてから契約してください。
名古屋の実家の売却や契約の内容でお困りの方は、名古屋空き家相談室(0120-337-900、10時から19時、年中無休)にご相談ください。初回の相談と現地確認は無料です。