この記事の結論
家財が残ったままでも、空き家は売れます。方法は3つで、「買取で家財ごと引き渡す」「売買契約を結んでから片付けて、決済のときに費用を精算する」「家財を買主に引き取ってもらい、その分を価格で調整する」です。どれを選んでも、契約書に「どの家財を、誰が、いつまでに処分するか」をはっきり書くことと、通帳・権利証・写真などを先に取り出すことが条件です。片付けを先に終わらせようとして何年も止まるより、売り方を決めてから片付けの範囲を決める方が、早くて安く済みます。
「実家を売りたいけれど、まず中を片付けないと」。この考えで、何年も止まっている方がたくさんいます。遠方に住んでいて帰れない、量が多すぎて手がつけられない、兄弟で何を残すか決まらない。理由はさまざまですが、実は片付けが終わっていなくても売却は始められます。その方法と、気をつけることをまとめます。
3つの売り方
| 売り方 | 家財の扱い | 向いている場合 | 注意すること |
|---|---|---|---|
| 買取で家財ごと引き渡す | 不動産会社・買取業者が家財ごと買い取り、処分は買主側で行う | 遠方で片付けに来られない/早く終わらせたい/量が多く手がつけられない | 処分費が価格に反映されるので、仲介より価格は下がる |
| 契約後に片付けて、決済時に精算 | 売買契約を結んだあと、引き渡しまでに売主が片付ける。費用は売却代金から精算できる | 片付けの費用を先に出せない/売れると決まってから片付けたい | 引き渡し日までに確実に片付ける段取りが必要 |
| 家財を買主に引き取ってもらう | 家財を残したまま「現況」で引き渡し、買主が処分する。その分を価格で調整 | 建て替え前提の買主など、家財の処分を気にしない相手が見つかった場合 | どの家財を残すかを契約で細かく決める必要がある |
3つ目は買主次第なので、最初から狙うより、売り出してから話の中で決まることが多いです。実際には、1つ目の買取か、2つ目の「契約後に片付け」を選ぶ方がほとんどです。
当社の場合
ご相談のときに、買取の場合の価格と、仲介で売り出して契約後に片付ける場合の想定価格・片付け費用・期間を並べてお伝えします。遠方の方は、契約・片付けの立ち会い・決済まで、一度も名古屋に来ずに終えることもできます。片付け業者は名古屋市の許可を持つ業者をご紹介し、費用は決済時に売却代金から精算する形で進められます。
売る前に必ず取り出す物
どの売り方でも、家財を手放す前に取り出しておく物があります。買取で家財ごと引き渡した後や、業者が片付けた後に「あれがない」と気づいても、取り戻せません。
- お金と権利に関わる物:通帳、印鑑、キャッシュカード、権利証(登記識別情報)、保険証券、年金手帳、株や投資信託の書類、貸金庫の鍵
- 手続きに使う物:固定資産税の納税通知書、建物の図面や建築確認の書類、境界の資料、リフォームの記録
- 思い出の物:写真・アルバム、手紙、日記、位牌、遺影
- 価値がありそうな物:貴金属、時計、着物、骨董、美術品、切手やコイン
- 形見分けをする物:兄弟や親族が欲しいと言っている物
遠方で取り出しに来られない場合は、当社が立ち会い、見つかった物を写真でお知らせしてから保管・送付します。
家財も相続財産。兄弟の同意を取っておく
親が亡くなった後の家財は、家と同じく相続財産です。一人の判断で処分すると、後で「勝手に捨てた」と揉める原因になります。売却を進める前に、家財をどう扱うか(何を残すか、残りは処分してよいか)を相続人の間で決めて、できれば書面やメールで残しておいてください。
契約書に書くべきこと
家財が残ったまま売るときに、いちばん揉めやすいのは「引き渡したら物が残っていた」「残してほしかった物まで処分された」というトラブルです。契約書で次の点をはっきりさせます。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 残置物の範囲 | 家財を全部残すのか、一部だけか。エアコン・照明・カーテン・物置など「設備として残す物」は付帯設備表で別に整理する |
| 処分する人と期限 | 売主が引き渡しまでに処分するのか、買主が引き渡し後に処分するのか |
| 所有権の放棄 | 引き渡し時に残っている家財について、売主が所有権を放棄し、買主が自由に処分してよいこと |
| 費用の負担 | 処分費を誰が持つか。価格に織り込むのか、別に精算するのか |
| 建物の状態の責任 | 家財で隠れていた床や壁の傷み、雨漏りなどについて、売主が責任を負わない条件にするか(個人の売主なら定めることができる) |
当社の場合
家財が残った物件の売買では、残置物の範囲と所有権の放棄を契約書に必ず明記し、付帯設備表で「残す設備」と「処分する家財」を分けて書いています。家財の下に隠れていた傷みは事前に分からないことが多いので、建物の状態について売主が責任を負わない条件をどこまで付けるかも、契約前にご説明します。
内覧の前にやる、最低限の整理
家財が残ったまま仲介で売り出す場合、全部片付ける必要はありませんが、次の3つだけはやっておくと、内覧の印象が大きく変わります。
- 生ごみ・食品・冷蔵庫の中身を処分する。臭いの原因になり、内覧で一番嫌がられます。
- 換気と通水をしておく。閉め切った家の臭いと、排水口からの下水の臭いを消します。空き家の電気・水道は解約していい?
- 床が見えるようにする。部屋の広さが分かる程度に、床に積まれた物だけでも寄せます。
これだけで「古いけれど住めそう」「壊して建てればいい土地だ」と、買主が判断しやすくなります。
どこまで片付けるかは、売り方で決める
片付けで止まっている方の多くは、「全部片付けてから売る」と考えています。でも順番は逆で、先に売り方を決めると、片付けの範囲が決まります。
- 買取なら、取り出す物を取り出すだけで終わり
- 仲介で売るなら、内覧前の最低限の整理だけして、残りは契約後に
- 壊して土地で売るなら、解体業者に家財の処分ごと頼む選択肢もある(解体してから売る?そのまま売る?)
全部片付けてから「残したままでも売れたのに」となるのが、いちばんもったいないケースです。片付け費用の決まり方は実家の片付け費用はどう決まる?で書いています。
まとめ:相談すると何が分かるか
家財が残ったままでも、空き家は売れます。買取で家財ごと、契約後に片付けて精算、買主に引き取ってもらう、の3通り。どれを選んでも、取り出す物を先に取り出し、契約書で残置物の範囲をはっきりさせることが大事です。片付けは、売り方を決めてから範囲を決めてください。
名古屋空き家相談室にご相談いただくと、次のことが分かります。
- 家財が残った今の状態で、買取ならいくら、仲介ならいくらか
- どこまで片付ければ売り出せるか、片付けの費用と段取り
- 遠方のまま、取り出し・片付け・契約・決済を進める方法
- 片付け費用を売却代金から精算できるかどうか
初回の現地確認と相談は無料です。片付けを始める前に、一度見せてください。