「実家のあたりはハザードマップで色が塗られている。こんな場所の家は売れるのか」「昔、床下まで水が来たことがあると母から聞いた。買主に言わないといけないのか」。名古屋市は、庄内川や天白川などの川と伊勢湾に囲まれ、市内の広い範囲に浸水の想定があります。実家を売るときに、浸水のことをどう扱えばいいか迷う方は少なくありません。
この記事では、浸水の想定が実家の売却にどう関わるか、売る前に確かめておくこと、買主への伝え方と売り方を解説します。
この記事の結論
2020年8月から、不動産を売るときの重要事項説明で、洪水、内水、高潮のハザードマップ上の位置を買主に説明することが義務になりました。名古屋市では広い範囲に浸水の想定があるため、想定があること自体で売れなくなるわけではありません。売る前に、名古屋市のハザードマップで実家の想定を確かめ、過去に浸水したことがあればその時期と程度を整理して、買主に伝えます。知っている浸水の履歴を伝えずに売ると、あとで責任を問われることがあります。想定と履歴、建物の状態を整理したうえで、価格と売り方を決めます。
浸水の想定は、売るときにどう関わる?
最初に、浸水の想定が売却のどの場面で関わるのかを確認していきます。
重要事項説明では、何が説明される?
不動産を売るときは、不動産会社が契約の前に、買主へ重要事項説明をします。2020年8月28日からは、この説明の中で、市区町村が作った洪水、内水、高潮のハザードマップを示し、物件がどこにあるかを説明することが義務になりました。
あわせて、土砂災害警戒区域や津波災害警戒区域に入っているかどうかも説明されます。浸水の想定は、売主が伝えるかどうかにかかわらず、買主が知る前提で売却を進めます。
想定があると、売れない?
名古屋市では、庄内川や天白川などの川の近くや、海に近い南西部を中心に、広い範囲に浸水の想定があります。そのため、想定がある物件は珍しくなく、想定があること自体で売れなくなるわけではありません。
買主は、駅からの距離や土地の広さ、建物の状態とあわせて判断します。近所で実際に売れた価格には、その地域の浸水の想定も織り込まれています。区ごとの事情は名古屋市南区の実家・空き家を売るときに知っておきたいことなどの区別の記事で解説しています。
火災保険の水災の保険料にも、地域差がある?
火災保険の水災の補償の保険料は、2024年10月から、市区町村ごとの水災の危険度に応じて5段階に分けられるようになりました。買主は、住宅ローンを組むときに火災保険に入るため、保険料の違いを気にすることがあります。
売るまでの間、空き家にかけている火災保険に水災の補償がついているかも確かめておきます。空き家の保険の考え方は空き家の火災保険に入れないと言われたらで解説しています。
売る前に、何を確かめる?
実家の浸水について、売る前に確かめて整理しておきたい点を確認していきます。
ハザードマップは、どう見る?
名古屋市の防災のホームページでは、洪水、内水、高潮、津波のハザードマップを区ごとに見られます。洪水のハザードマップは、川ごとに、想定される最大規模の大雨で浸水する深さと、水が引くまでの時間を示しています。
浸水の深さは、0.5メートル未満なら床下、0.5メートル以上なら床上まで水が来る目安とされます。実家の住所で、それぞれのマップの想定を確かめ、深さと続く時間をメモしておきます。学区ごとに想定をまとめた地区防災カルテも参考になります。
過去に浸水したことは?
親や近所の人の記憶、修理の記録、保険金を受け取った記録などから、実家が過去に浸水したことがあるかを確かめます。床上か床下か、どの時期か、そのあとに何を直したかを整理しておきます。
名古屋市では、2000年の東海豪雨で市内の広い範囲が浸水しました。そのころに実家に住んでいた家族がいれば、当時の様子を聞いておきます。
建物の状態は?
過去に浸水した家は、床下の湿気やカビ、基礎や土台の傷み、電気の配線への影響が残っていることがあります。浸水の跡が壁や柱に残っていないかも見ておきます。
空き家のまま大雨にあった場合は、その後の点検も欠かせません。点検する場所は台風・地震のあと、空き家で確認すべき5か所で解説しています。
当社の場合
浸水の想定がある地域の実家のご相談では、名古屋市のハザードマップで洪水、内水、高潮、津波の想定を確かめ、床下や基礎の状態、浸水の跡を現地で見てからお伝えします。過去の浸水の履歴は、ご家族から伺った内容をもとに、買主への伝え方を一緒に整理します。
浸水の想定がある地域の実家を売りたい方へ
ハザードマップの想定と建物の状態を確かめ、買主への伝え方と価格の見込みをお伝えします。現地確認は無料です。
買主には、どう伝えて売る?
浸水の想定や履歴を伝えたうえでの売り方を確認していきます。
浸水の履歴は、伝える必要がある?
過去に実家が浸水したことを知っている場合は、売るときに買主に伝えます。売主が書く物件状況の告知書に、時期、床上か床下か、修理の内容を書きます。知っていたのに伝えずに売ると、あとで契約不適合として、修理の費用や損害の賠償、契約の解除を求められることがあります。
伝えたうえで、修理の責任を負わない条件で売る方法もあります。考え方は古い空き家を売ったあとで不具合が見つかったら?で解説しています。
買主が安心できる情報は?
浸水の想定や履歴だけでなく、基礎が高めに造られている、浸水のあとに床下を乾燥させて直した、近くの川の堤防や排水の整備が進んだといった情報も、あわせて伝えます。悪い情報だけを伝えるより、事実を整理して伝える方が、買主は判断しやすくなります。
港区などの臨海部では、建て替えるときに1階の床の高さを決める条例もあります。決まりの内容は名古屋市港区の実家・空き家を売るときに知っておきたいことで解説しています。
価格は、どう決める?
価格は、近所で実際に売れた価格をもとに、浸水の想定の深さ、過去の履歴、建物の状態を加えて考えます。同じ地域の物件は同じ想定の中で取引されているため、想定だけで大きく下げる必要はありません。一方、浸水の履歴があり、建物に傷みが残る場合は、修理の費用を見込んだ価格になります。
査定の見方は名古屋の空き家の査定はどう決まる?で解説しています。
当社の場合
浸水の想定や履歴がある実家の査定では、近くで実際に売れた価格と、想定の深さ、建物の状態を並べ、建物を直して売る場合と、そのまま売る場合の手取りをお伝えします。告知書の書き方も一緒に確かめます。買取のご相談もお受けしています。
浸水したことがある実家の売り方に迷っている方へ
浸水の履歴の伝え方と、直して売る場合とそのまま売る場合の手取りを比べてお伝えします。相談は無料です。
浸水の想定がある実家についてよくある質問
浸水したことがあるか、わからない場合は?
知らないことは伝えようがありませんが、わからないことはわからないと正直に伝えます。家族や近所の人に聞く、修理の記録を探すなど、調べられる範囲で確かめておくと、買主からの質問にも答えやすくなります。
伊勢湾台風のときに浸水した地域だと、伝える必要がありますか?
地域全体が被害を受けた過去の災害は、ハザードマップの説明とあわせて、地域の事情として伝わることが多くあります。一方、近年の大雨などで実家そのものが浸水したことを知っている場合は、個別に伝えます。
ハザードマップの想定は、変わることがありますか?
はい、川の整備や想定の見直しにより、ハザードマップが改められることがあります。重要事項説明では、説明する時点の最新のハザードマップが使われます。売る前に、名古屋市のホームページで最新の版を確かめてください。
空き家のうちに大雨で浸水してしまいました。
まず、水が引いたあとに床下や電気の設備を点検し、火災保険の水災の補償が使えるかを確かめます。直してから売るか、そのまま売るかは、修理の費用と売れる価格を比べて決めます。浸水したことは、売るときに買主に伝えます。
浸水の想定がある地域でも、3,000万円控除は使えますか?
はい、浸水の想定があるかどうかは、相続した空き家の3,000万円控除の条件とは関係ありません。条件は相続した空き家の3,000万円特別控除で解説しています。
浸水の想定がある名古屋の実家は、想定と履歴を整理することから始めよう
2020年8月から、重要事項説明で洪水、内水、高潮のハザードマップ上の位置が買主に説明されるようになりました。名古屋市では広い範囲に想定があるため、想定だけで売れなくなるわけではありません。名古屋市のハザードマップで実家の想定を確かめ、過去の浸水の履歴と建物の状態を整理して、買主に伝えたうえで価格と売り方を決めてください。
浸水の想定がある名古屋の実家の売却でお困りの方は、名古屋空き家相談室(0120-337-900、10時から19時、年中無休)にご相談ください。初回の相談と現地確認は無料です。