「築50年の実家に値段がつくとは思えないけれど、壊すお金も出したくない」「不動産会社に古家付き土地で売りましょうと言われたが、どういう意味かわからない」と迷う方は少なくありません。古い空き家は、建物を壊さずに、土地として売る方法があります。それが古家付き土地という売り方です。
この記事では、古家付き土地とはどんな売り方か、中古住宅や更地で売る場合との違い、古家付き土地で売るときに得をする点と気をつける点、2024年から変わった3,000万円控除との関係を解説します。
この記事の結論
古家付き土地とは、建物にはほとんど価値をつけず、土地の価格で、建物が建ったまま売る方法です。売主は解体費を先に払わずに済み、売れるまでの間は住宅用地の特例で土地の固定資産税も軽いままです。その分、買主が負担する解体費を見込んで価格が下がることがあり、建物の不具合について責任を負わない契約にしておくことが前提になります。相続した空き家なら、2024年からは買主が売った翌年2月15日までに解体すれば、3,000万円控除が使えるようになりました。
古家付き土地とは、どんな売り方?
最初に、古家付き土地という言葉の意味を確認していきましょう。
中古住宅として売るのと、何が違う?
中古住宅として売る場合は、建物に住むことを前提に、土地と建物の両方に価格をつけます。古家付き土地として売る場合は、建物はおまけのような扱いで、主に土地の価格で売ります。
見学に来る人も違います。中古住宅を探す人は建物の状態を細かく見ますが、古家付き土地を探す人は、建物を壊して新しく建てるか、自分で直して使うことを考えている人が中心です。そのため、建物の傷みが売れない理由になりにくくなります。
どんな家が、古家付き土地として売られる?
古家付き土地として売られるのは、建物が古く、中古住宅としての価値がほとんど残っていない家です。築年数が長い木造住宅や、雨漏りや傾きなど傷みが大きい家、間取りが今の暮らしに合わない家などが多く見られます。
名古屋市内でも、昭和の時代に建てられた木造住宅が多い西区、北区、中村区などの古い住宅地では、古家付き土地として売りに出される家がよく見られます。
広告では、どう表示される?
土地として売る場合でも、古い建物が残っていることは広告に表示する決まりになっています。そのため、不動産の広告では「古家あり」「現況古家あり」などと書かれます。
買う人は、建物が残っていることを承知のうえで見学に来るため、建物の傷みを理由にした値引き交渉が起きにくいという面もあります。
古家付き土地で売ると、何が得になる?
売主にとっての利点を確認していきます。
解体費を先に払わずに済む?
はい、古家付き土地なら、売主が解体費を先に払う必要はありません。建物を壊すかどうかは、買主が買ったあとに決めます。
前の道路が狭い、隣の家と近い、重機が入りにくいといった家は、解体費が高くなりやすい傾向があります。名古屋の古い住宅地にはこうした家が多いため、解体費を出せないから売れないと思っている方にとって、古家付き土地は現実的な選択肢になります。
固定資産税は、どうなる?
建物が建っている間は、住宅用地の特例で、土地の固定資産税が軽くなったままです。更地にすると、翌年度から特例が外れて税額が上がります。
更地にしてから売りに出し、売れるまでに年をまたぐと、上がった固定資産税を払うことになります。古家付き土地で売れば、売れるまでの間もこの特例を使い続けられます。特例の仕組みは空き家を放置すると固定資産税が上がる?で解説しています。
建物を使いたい買主にも売れる?
はい、建物を直して住みたい人や、貸したい人にも売れます。古家付き土地として売れば、壊して建て替えたい人と、直して使いたい人の両方が買主の候補になります。
更地にしてしまうと、建物を使いたい人は候補から外れます。また、前の道路の条件によっては、壊すと新しい家が建てられない土地もあるため、そうした土地では建物を残して売ることが前提になります。考え方は名古屋で売れない空き家はどうする?で解説しています。
当社の場合
古い空き家の売却のご相談では、中古住宅として売る、古家付き土地として売る、解体して売るの3つを、価格と費用、売れるまでの期間で比べてお伝えしています。前の道路の幅や重機が入るかどうかを現地で確認し、解体費の見積もりを先に取っておくことで、買主が価格を判断しやすくなるようにしています。
古家付き土地で売るときに、気をつけることは?
一方で、古家付き土地ならではの注意点もあります。
価格は、どう決まる?
古家付き土地の価格は、周りの土地の相場から、買主が負担する解体費を差し引いて考えられることが多くあります。買主にとっては、土地の代金に加えて解体費がかかるためです。
そのため、更地として売る場合より、解体費の分だけ価格が下がる傾向があります。ただし、売主が先に解体費を払うかどうかの違いなので、手取りで比べると大きな差にならないこともあります。解体して売る場合との比べ方は空き家は解体してから売る?そのまま売る?で解説しています。
建物の不具合の責任は、どうなる?
売ったあとに雨漏りやシロアリの被害が見つかった場合、契約の内容によっては、売主が修理や代金の減額を求められることがあります。これを契約不適合責任といいます。
売主が個人の場合は、契約で建物の不具合について責任を負わないと決められます。古家付き土地で売るときは、建物は現況のまま引き渡し、建物の不具合については責任を負わないことを契約書に明記しておくのが一般的です。ただし、知っていた不具合を伝えなかった場合は、この取り決めがあっても責任を問われることがあります。
土地の中のことは、どうなる?
建物の責任を負わない取り決めをしても、土地の中から古い基礎やごみ、井戸などが見つかった場合の扱いは、別に決めておく必要があります。建物を壊したあとに初めてわかることが多いためです。
土地についても責任を負わない、または責任を負う期間を短くするといった取り決めを、契約の前に買主と話し合っておきます。昔、家の敷地に井戸があった、離れや蔵を壊したことがあるといった事情は、わかる範囲で買主に伝えておきます。
境界や測量は、必要になる?
古家付き土地は土地として売るため、買主は土地の広さと隣との境界を気にします。測量図がない、境界の目印が見当たらないといった場合は、売る前に測量を求められることがあります。
特に、買主が建物を壊して新しく建てる予定なら、どこまでが自分の土地かがはっきりしないと建物の配置を決められません。境界の目印が残っているか、隣の持ち主と境界を確かめたことがあるかを、売りに出す前に確認しておきます。測量にかかる費用の考え方は空き家を売るときにかかる費用の一覧で解説しています。
家財は、残したままでいい?
古家付き土地で売る場合でも、家財を残したまま引き渡すかどうかは、買主と話し合って決めます。買主が建物を壊す予定なら、家財の処分も解体と一緒に行うことがあり、その分、価格の交渉材料になります。
残す物と持ち出す物は、契約書に書いておきます。家財を残したまま売る考え方は家財が残ったまま空き家を売る方法で解説しています。
相続した空き家を古家付き土地で売ると、3,000万円控除は使える?
相続した空き家を売るときに気になるのが、税金の特例との関係です。
以前は、どうだった?
相続空き家の3,000万円控除は、もともと、売主が建物を壊して更地で売るか、耐震改修をして耐震基準を満たした状態で売る場合に使える特例でした。古い建物が建ったまま売ると、原則として使えませんでした。
そのため、控除を使うために、売主が先に解体費を払って更地にしてから売るケースが多くありました。
2024年から、何が変わった?
2024年1月1日以降の売却では、売った時点で建物が残っていても、売った年の翌年2月15日までに建物を取り壊すか、耐震基準を満たすようにすれば、控除の対象になりました。
つまり、古家付き土地として売り、買主が期限までに解体すれば、売主は控除を使えます。売主が解体費を先に払わずに済み、しかも控除も使えるようになった点が大きな変化です。
買主に解体してもらうときの注意点は?
買主が期限までに解体しなければ、売主は控除を使えません。そのため、売買契約書に、買主が売った年の翌年2月15日までに建物を取り壊すことを約束してもらう条項を入れておくことが大切です。
また、相続人が3人以上いる場合は、1人あたりの控除額は2,000万円になります。そのほかの条件は相続した空き家の3,000万円特別控除で、売ったときの税金の計算は名古屋の空き家を売ると税金はいくら?で解説しています。
当社の場合
相続した空き家を古家付き土地で売る場合は、3,000万円控除の条件を満たすかどうかを先に確認し、使える場合は、買主に期限までの解体を約束してもらう条項を契約書に入れます。建物と土地の責任の範囲も、売主の方が知っている事情をうかがったうえで、契約書にはっきり書くようにしています。税金の判断が必要な場合は、税理士をご紹介します。
相続した実家を、壊さずに控除も使って売りたい方へ
3,000万円控除の条件を確認し、買主に解体してもらう形で売れるかをお伝えします。遠方の方も電話で進められます。現地確認は無料です。
古家付き土地についてよくある質問
古家付き土地と更地では、どちらが早く売れますか?
家と立地によって変わります。新しく家を建てたい一般の人には、すぐに建てられる更地のほうが見つけやすい面があります。一方、建物を使いたい人や、解体を自分で手配したい建築会社には、古家付き土地のほうが向いていることがあります。売りに出したあとの反応を見て、途中で売り方を変えることもできます。
古家付き土地で売り出したあと、解体して売り直すことはできますか?
はい、できます。古家付き土地で反応が少なければ、解体して更地で売り直す方法もあります。ただし、解体すると翌年度から固定資産税が上がるため、売れる見込みと時期を考えてから決めてください。相続した空き家の場合は、3,000万円控除の期限にも注意が必要です。
建物が傾いていても、古家付き土地で売れますか?
はい、売れるケースがほとんどです。古家付き土地の買主は、建物を壊す前提で買うことが多いため、傾きがあっても土地の価格で判断されます。ただし、傾きがあることは買主に伝えておく必要があります。倒れそうなほど傷んでいる場合は、売れるまでの間に周りに迷惑をかけないよう、管理や応急の処置も考えます。
解体費の見積もりは、売主が取っておくべきですか?
取っておくと、買主が価格を判断しやすくなり、話が早く進みます。解体費を差し引いた価格の交渉になったときも、根拠を示しやすくなります。名古屋空き家相談室では、売却のご相談と一緒に解体業者の見積もりの手配もお手伝いしています。
古家付き土地で売っても、仲介手数料は同じですか?
はい、仲介手数料は売り方ではなく売買価格で決まります。売買価格が800万円以下の場合は、30万円に消費税を加えた額まで受け取れる特例があります。費用の一覧は空き家を売るときにかかる費用の一覧で解説しています。
名古屋の古い空き家は、壊す前に古家付き土地で売れるかを確かめることから始めよう
古家付き土地で売れば、解体費を先に払わずに済み、売れるまで固定資産税の特例も使い続けられます。一方で、解体費を見込んで価格が下がることがあり、建物と土地の責任の範囲を契約ではっきりさせておくことが前提です。相続した空き家なら、2024年から買主の解体でも3,000万円控除が使えるようになったため、壊す前に一度ご相談ください。
名古屋の古い空き家を壊さずに売りたい方は、名古屋空き家相談室(0120-337-900、10時から19時、年中無休)にご相談ください。初回の相談と現地確認は無料です。