「不動産会社に相談したら、うちでは扱えないと言われた」「何年も売りに出しているのに、問い合わせすら来ない」と悩む方は少なくありません。ただ、売れない空き家の多くは、家そのものに価値がないのではなく、売れない理由が特定されないまま同じ売り方を続けていることが原因です。
この記事では、仲介を断られやすい家の理由、理由ごとに選べる出口、名古屋で売れない空き家を手放すまでの進め方を解説します。
この記事の結論
仲介を断られる空き家には、前の道路の条件で建て替えができない、境界や名義が決まっていない、価格が安く手間に見合わない、建物の傷みが大きいといった理由があります。理由がわかれば、売り方を変える、隣の人に買ってもらう、買取を行う会社に売る、解体する、貸すといった出口を選べます。どれも難しい土地には、建物を壊したうえで国に引き取ってもらう相続土地国庫帰属制度もあります。最初にやるべきことは、断られた理由を登記簿と役所の資料で確かめることです。
空き家が売れない・仲介を断られるのはなぜ?
断られた理由を知ることが、出口を選ぶ出発点になります。
なぜ不動産会社は仲介を断るの?
不動産会社が仲介を断るのは、買い手が見つかる見込みが低いか、売るまでの手間と費用に見合う報酬が得られないと判断したときです。断られたからといって、その家が誰にも売れないとは限りません。
仲介の報酬は売れた価格に応じて決まるため、価格が安い家ほど報酬は少なくなります。一方で、古い空き家は境界の確認や残った家財の扱い、建物の不具合の説明など、手間はむしろ多くかかります。この差が、安い空き家ほど断られやすい理由の一つです。
安い空き家でも仲介の報酬は決まっている?
安い空き家については、報酬の上限を引き上げる特例があります。2024年7月1日から、売買価格が800万円以下の宅地や建物は、売主にあらかじめ説明して合意を得たうえで、30万円に消費税を加えた額まで報酬を受け取れるようになりました。
以前は、たとえば200万円の家なら報酬の上限はもっと低く、現地調査の交通費すら出ないと断る会社もありました。特例によって扱う会社は増えつつありますが、会社ごとに方針は違います。報酬が理由で断られた場合は、特例を使った仲介を受けているかどうかを確認してみてください。
断られやすいのは、どんな家?
断られやすい家には、いくつかの共通点があります。名古屋の空き家のご相談でよく見られるのは、次のような家です。
- 前の道路が建築基準法上の道路でない、または道路に接する幅が2メートルに満たず、建て替えができない
- 隣との境界が決まっていない、または測量図がない
- 相続登記がされておらず、亡くなった親の名義のまま
- 兄弟姉妹で共有になっていて、全員の同意がそろっていない
- 雨漏りや傾き、シロアリの被害など、建物の傷みが大きい
- 家財が大量に残っていて、中を見せられない
- 市街化調整区域にあり、買った人が建て替えや用途の変更をしにくい
このうち名義と共有、家財は、時間をかければ解決できる理由です。一方、道路と市街化調整区域は土地の条件そのものなので、売り方や買い手を変えて対応することになります。
何年も売れないのは、価格だけが原因?
価格だけが原因とは限りません。問い合わせがあっても見学で止まるなら建物の状態や家財、見学すら入らないなら価格か広告の出し方に原因があるケースが多く見られます。
何か月売りに出していて、何件の問い合わせと見学があったかを、仲介している会社に聞いてみてください。その数字で、直すべきなのが価格なのか、家の状態なのか、売り方なのかが見えてきます。
名古屋で建て替えができない家は売れる?
売れない理由のなかで最も重いのが、建て替えができない家です。
再建築不可とは、どんな家?
再建築不可とは、今の建物を壊すと新しい家を建てられない土地のことです。建築基準法では、建物の敷地は幅4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならないと定められており、この条件を満たさない土地がこれに当たります。
名古屋市内でも、古くからの住宅地には、細い路地の奥にある家や、通路だけで道路とつながっている家が残っています。昔は建てられたものの、今の基準では建て替えられない家です。
前の道が狭いだけなら、建て替えはできる?
道の幅が4メートル未満でも、建築基準法上の道路として扱われていれば、建て替えができるケースがあります。いわゆる2項道路で、道の中心から2メートル下がった位置まで敷地を後退させれば建てられます。
また、道路に接していない土地でも、周りに広い空き地があるなどの条件を満たせば、建築基準法第43条第2項の許可によって建てられる場合があります。許可が出るかどうかは個別の判断になるため、売る前に、前の道路が何の道路として扱われているかを名古屋市の窓口で確認しておくことが前提です。確かめ方は再建築不可の空き家を売るには?で詳しく解説しています。
再建築不可の家は、誰が買うの?
再建築不可の家の買い手は、隣の家の持ち主、今の建物を直して住む人や貸す人、こうした家を専門に買い取る会社が中心です。住宅ローンが使いにくいため、一般の家族が買うことは少なく、価格も周辺の相場より大きく下がる傾向があります。
ただ、建物を残したまま直して使うことはできるため、駅に近い場所や、賃貸の需要がある地域では買い手がつくことがあります。建物を壊してしまうと二度と建てられないため、売れないからといって先に解体しないことが大切です。
当社の場合
他の会社で断られた空き家のご相談では、まず断られた理由をお聞きし、登記簿、公図、前の道路の扱いを当社で調べ直します。道路の扱いは名古屋市の窓口で確認し、建て替えができるのか、許可の可能性があるのか、本当にできないのかを分けてお伝えします。理由が名義や家財のように解決できるものであれば、その手順から一緒に進めます。
売れない空き家の出口はどれを選ぶ?
理由がわかったら、出口を比べていきます。
売り方を変えるだけで売れることはある?
はい、売り方を変えるだけで買い手がつくことはあります。たとえば、中古住宅として売っていた家を古家付きの土地として売り直す、家財を片付けて見学しやすくする、建物の状態を調べて不具合を先に開示するといった方法です。
中古住宅として売ると、買った人は建物の状態に期待するため、見学で傷みを見て止まりやすくなります。一方、古家付きの土地として出すと、建物は壊す前提か、直して使う前提の人が見るため、傷みが売れない理由になりにくくなります。片付けの進め方は家財が残ったまま空き家を売る方法で解説しています。
隣の家の人に買ってもらうのは現実的?
現実的な出口の一つです。隣の家の持ち主にとっては、敷地を広げられる、駐車場や庭にできる、自分の家の建て替えがしやすくなるといった利点があるため、一般の買い手より高い価格を出してもらえるケースもあります。
特に再建築不可の家は、隣の土地と一緒になることで建て替えができるようになることがあります。ただし、身内同士で直接話を進めると、価格や境界、費用の負担でもめやすくなります。打診の仕方と条件の整理は、不動産会社を間に入れて進めるほうが安全です。
買取を行う会社に売るのは損?
手取りの額だけを見れば、仲介で一般の人に売るより低くなる傾向があります。買取を行う会社は、買ったあとに直したり解体したりして売り直すため、その費用と利益を差し引いた価格を出すからです。
一方で、買取には、すぐに現金化できる、家財が残ったままでも引き取ってもらえることがある、売ったあとに不具合が見つかっても責任を問われない契約にしやすいといった利点があります。何年も売れずに固定資産税と管理費を払い続けるなら、早く手放すほうが結果的に手元に残る額が多くなることもあります。
解体して更地にすれば売れる?
建て替えができる土地なら、更地にすると買い手が探しやすくなります。ただし、解体には費用がかかり、建物がなくなると住宅用地の特例が外れて、翌年度から土地の固定資産税が上がります。
再建築不可の土地は、更地にしても新しい家を建てられないため、かえって売れにくくなります。相続した空き家で3,000万円控除を使いたい場合も、解体の時期と売る時期の組み合わせで結果が変わります。判断の仕方は空き家は解体してから売る?そのまま売る?で解説しています。
売れないなら、貸すという手もある?
はい、建物が使える状態なら、貸すことで固定資産税と管理費を家賃でまかなえることがあります。直す費用を借りる人の負担にして、安い家賃で貸す方法もあります。
ただし、一度貸すと、借りている人がいる状態でしか売れなくなり、相続空き家の3,000万円控除も使えなくなります。貸す前に知っておきたい点は名古屋の空き家を貸すリスクにまとめています。
当社の場合
売れない空き家のご相談では、売り方を変えて仲介で売る、隣の方に打診する、買取を行う会社に売る、解体して売る、貸すといった出口を、手取りと時間で並べた表にしてお渡しします。どれを選ぶかを当社が急がせることはありません。隣の方への打診も、ご家族が直接話しにくい場合は当社が間に入ってお伝えします。決まるまでの間は、外まわりの見回りなど空き家の管理も続けてお受けしています。
どこにも売れない土地は国に引き取ってもらえる?
売る、貸す、譲るのどれも難しい場合の最後の選択肢として、国の制度があります。
相続土地国庫帰属制度とは?
相続土地国庫帰属制度は、相続や遺贈で取得した土地を、一定の条件を満たせば国に引き取ってもらえる制度です。2023年4月27日に始まり、申請先は土地のある地域を受け持つ法務局です。
申請できるのは、相続や相続人への遺贈で土地を取得した人です。兄弟姉妹で共有している土地は、共有者全員で申請します。
空き家が建ったままでも申請できる?
建物が建ったままでは申請できません。建物がある土地は、申請の段階で却下される扱いになっているため、空き家は自分の費用で解体してから申請することになります。
ほかにも、抵当権などの権利が設定されている土地、境界がはっきりしない土地、他人が通路として使っている土地なども申請できません。また、管理を妨げる車や樹木などが残っている土地や、隣との争いがある土地は、審査で承認されない場合があります。
国に引き取ってもらうには、いくらかかる?
土地1筆につき1万4,000円の審査手数料と、承認されたあとに10年分の管理費に当たる負担金がかかります。宅地の負担金は原則20万円ですが、市街化区域などの宅地は面積に応じて計算する決まりになっています。
名古屋市内の宅地は多くがこの区分に入るため、広さによっては20万円を超えます。これに解体費が加わるため、国に引き取ってもらう方法は費用が最もかかる出口になることがあります。売る方法を一通り試してから検討するのが現実的です。
相続放棄をすれば、空き家だけ手放せる?
相続放棄で空き家だけを手放すことはできません。相続放棄をすると、預貯金などほかの財産も含めてすべてを相続しないことになります。
また、放棄したあとも、その家を実際に管理している人には、次の人に引き渡すまで保存する義務が残ります。詳しくは相続放棄すれば空き家の管理はしなくていい?で解説しています。
名古屋で売れない空き家を手放すまでの進め方
実際に手放すまでの流れを、順番に確認していきましょう。
STEP1|断られた理由と、売れなかった記録を集める
最初に、仲介を断られた理由や、売りに出していた期間、問い合わせと見学の件数を書き出します。断った会社や仲介していた会社に聞けば、教えてもらえることが多い情報です。
あわせて、固定資産税の納税通知書、登記簿、測量図や建築当時の図面など、手元にある書類を集めておきます。
STEP2|名義と道路の扱いを確かめる
次に、登記簿で今の名義を確認します。亡くなった親の名義のままなら、売る前に相続登記が必要です。相続登記は2024年4月から義務になっています。
前の道路が建築基準法上の道路かどうか、建て替えができるかどうかは、名古屋市の窓口で確認します。この2つが決まると、選べる出口がほぼ絞られます。
STEP3|出口を手取りで比べる
選べる出口ごとに、売れる見込みの価格、かかる費用、手放すまでの時間を並べて比べます。費用には、解体費や片付け費のほか、売れるまでの固定資産税と管理費も入れて考えます。
売れない期間が長くなるほど、税金と管理費は積み上がり、建物も傷みます。手取りの額だけでなく、いつまでに手放せるかも比べる材料にしてください。
STEP4|決まるまでの管理を続ける
出口が決まるまでの間も、空き家の管理は続ける必要があります。雨漏りや草木の伸び放題を放っておくと、建物が傷んで売れる価格が下がるうえ、名古屋市から管理不全空家として指導を受けることもあります。
遠方に住んでいて通えない場合は、管理を任せることも検討してください。管理の内容と料金は空き家管理のページで確認できます。
当社の場合
当社は、名古屋市西区庄内通の本店と、守山、野並の支店から名古屋市内の空き家を見ています。相続登記や相続土地国庫帰属制度の書類が必要な場合は、司法書士をご紹介し、当社は売却の比較と現地の確認を受け持ちます。国の制度を使う前に、隣の方への打診や買取など売る方法をすべて試したうえで判断していただくようにしています。
何年も売れない空き家にお困りの方へ
売れなかった理由を整理し、売り方の変更、隣の方への打診、買取、解体を手取りで比べてお伝えします。遠方の方も電話と写真で進められます。現地確認は無料です。
売れない空き家についてよくある質問
他の不動産会社に断られた家でも相談できますか?
はい、ご相談いただけます。断られた理由が報酬の低さや手間であれば、会社を変えるだけで扱えることがあります。理由が道路や名義の問題であれば、当社で調べ直し、解決できるのか、売り方や買い手を変えて対応するのかをお伝えします。断られたときの説明の内容を、そのままお聞かせください。
再建築不可の家でも、値段はつきますか?
はい、つくケースがほとんどです。ただし、建て替えができる土地と比べると、価格は大きく下がる傾向があります。隣の方が買う場合や、建物を直して貸せる場所であれば、比較的よい条件になることもあります。前の道路の扱いと建物の状態を確認したうえで、売れる見込みの価格をお伝えします。
家財が残ったままでも、買い取ってもらえますか?
はい、家財が残ったままで引き取る会社もあります。その場合、片付けの費用は買取価格から差し引かれるのが一般的です。自分で片付けてから売るのと、どちらが手元に残るかは家財の量によって変わるため、片付けの見積もりと買取の価格を並べて比べることをおすすめします。
相続土地国庫帰属制度は、不動産会社が申請してくれますか?
いいえ、申請は土地の持ち主ご自身が行います。申請書の作成を代わりに行えるのは、弁護士、司法書士、行政書士に限られています。当社では、制度を使う前に売る方法がないかを確認し、制度を使う場合は司法書士をご紹介します。解体の手配や境界の確認についてもご相談いただけます。
売れないまま持ち続けると、どうなりますか?
固定資産税と管理費を払い続けることになり、建物も年々傷みます。管理が行き届かず周りに迷惑をかけるようになると、名古屋市から管理不全空家として指導や勧告を受け、勧告を受けると住宅用地の特例が外れて固定資産税が上がります。持ち続ける費用と手放す費用を一度比べておくと、判断がしやすくなります。
名古屋の売れない空き家は、断られた理由を確かめることから始めよう
売れない空き家の多くは、道路、名義、価格、建物の状態のどこかに理由があります。理由がわかれば、売り方を変える、隣の人に買ってもらう、買取、解体、貸すといった出口を手取りで比べられ、どれも難しい場合には相続土地国庫帰属制度もあります。売れないからと先に解体したり放っておいたりせず、まず理由を確かめてください。
名古屋で売れない空き家にお困りの方は、名古屋空き家相談室(0120-337-900、10時から19時、年中無休)にご相談ください。初回の相談と現地確認は無料です。