「親の家を売ったら、税金で半分くらい取られるのでは」「売ったお金を兄弟で分けたあとで、税金を払えなくなったら困る」と心配する方は少なくありません。空き家を売ったときの税金は、売った金額そのものではなく、売って出た利益にかかります。そのため、計算のしかたと使える特例を知っているかどうかで、払う額が大きく変わります。
この記事では、空き家を売ったときにかかる税金の計算のしかた、相続した家で特に気をつける点、税金を減らせる特例、申告の時期と準備しておく書類を解説します。
この記事の結論
空き家を売ったときの税金は、売った価格から、買ったときの価格と売るためにかかった費用を引いた利益にかかります。相続した家は親が買った時期を引き継ぐため、多くは所有期間5年超の長期譲渡所得となり、税率は所得税・復興特別所得税・住民税を合わせて20.315%です。買ったときの価格がわからないと売った価格の5%しか差し引けず税金が増えるため、契約書を探すことが大切です。条件を満たせば相続空き家の3,000万円控除で税金がかからないこともあるため、売る前に使える特例を確かめてください。
空き家を売ったとき、税金は何にかかる?
最初に、税金の対象になる金額を確認していきましょう。
売った金額すべてに税金がかかる?
売った金額すべてにかかるわけではありません。税金がかかるのは、売って出た利益にあたる譲渡所得です。譲渡所得は、売った価格から、取得費と譲渡費用を引いて計算します。
取得費は、その家と土地を買ったときの価格や、買うときにかかった費用です。譲渡費用は、仲介手数料など売るために直接かかった費用です。利益が出なければ、税金はかかりません。
売るためにかかった費用は、何が差し引ける?
国税庁は、譲渡費用を売るために直接かかった費用としており、仲介手数料、売主が負担した印紙税、売るために建物を壊したときの解体費などが含まれます。
一方、固定資産税や修繕費など、家を持っている間の維持にかかった費用は差し引けません。家財の片付け費用が差し引けるかどうかは個別の判断になるため、税理士に確認してください。片付け費用の扱いは実家の片付け費用は売却代金から払える?でも触れています。
建物の取得費は、買ったときの価格のまま?
建物の取得費は、買ったときの価格のままではなく、持っていた年数に応じて価値が減った分を差し引いた額になります。これを減価償却といい、自分で住んでいた家や空き家のように事業に使っていない建物は、法定耐用年数の1.5倍の年数で計算します。
そのため、古い木造の家ほど建物の取得費は小さくなり、取得費の多くを土地の分が占めることになります。
税率はどう決まる?
譲渡所得にかかる税率は、持っていた期間で変わります。
長期と短期は、どう分かれる?
売った年の1月1日時点で、持っていた期間が5年を超えていれば長期譲渡所得、5年以下なら短期譲渡所得になります。長期の税率は、所得税15%、復興特別所得税(所得税の2.1%)、住民税5%で、合わせて20.315%です。
短期の場合は、所得税30%、復興特別所得税、住民税9%で、合わせて39.63%と、長期のほぼ2倍になります。
相続した家は、いつから持っていたことになる?
相続した家は、亡くなった親がその家を買った日を引き継ぎます。相続した日から数えるわけではありません。
そのため、親が何十年も前に買った実家であれば、相続してすぐに売っても長期譲渡所得になります。相続したばかりだから税率が高くなる、ということは通常ありません。
計算すると、税金はいくらになる?
たとえば、親が昔に買った実家を2,000万円で売り、買ったときの価格がわからず、仲介手数料などの譲渡費用が80万円かかった場合を考えます。買ったときの価格がわからないと、取得費は売った価格の5%の100万円になります。
この場合の譲渡所得は、2,000万円から100万円と80万円を引いた1,820万円です。長期の税率20.315%をかけると、税金は合わせて約370万円になります。これはあくまで計算の例で、実際の税額は特例の有無や家の条件で変わります。
当社の場合
売却のご相談では、売れる見込みの価格に加えて、仲介手数料や登記の費用などの譲渡費用の見込みと、使えそうな特例の条件を一覧にしてお渡ししています。税額の最終的な判断は税理士の仕事のため、必要な場合は当社から税理士をご紹介し、売る前に手取りの目安を確かめられるようにしています。
実家を売ったら税金がいくらか知りたい方へ
売れる見込みの価格と費用、使えそうな特例を整理し、手取りの目安をお伝えします。必要な場合は税理士をご紹介します。相談は無料です。
相続した空き家で、税金が増えやすいのはどんなとき?
相続した家ならではの、税金が増えやすい場面があります。
親が買ったときの価格がわからないと、どうなる?
買ったときの価格がわからない場合、取得費は売った価格の5%とみなされます。これを概算取得費といいます。実際には売った価格の何割もの額で買っていた家でも、書類がなければ5%しか差し引けません。
上の計算例でも、もし買ったときの価格が1,500万円とわかっていれば、譲渡所得は大きく減ります。親が家を買ったときの売買契約書や領収書は、実家の片付けの前に必ず探してください。探し方は実家の片付けで必ず取り出す物リストにまとめています。
契約書がない場合、ほかに方法はある?
契約書がなくても、通帳の出金記録、住宅ローンの返済記録、当時の登記簿、建築会社との契約書などから、買ったときの価格を確かめられる場合があります。
どの資料をもとに取得費を計算できるかは、税務署や税理士の判断になります。資料が少しでも残っていれば、捨てずに税理士に見てもらってください。
売って損が出たら、ほかの所得と相殺できる?
相続した空き家を売って損が出ても、給与などほかの所得と相殺することは原則できません。自分が住んでいた家を売った場合の損失には例外がありますが、空き家は対象にならないことがほとんどです。
一方、損が出た場合は税金がかからないため、売った年に別の土地や建物を売って利益が出ていれば、その利益と相殺できることがあります。
税金を減らせる特例は?
相続した空き家を売るときに使える主な特例を確認していきます。
相続空き家の3,000万円控除とは?
相続した空き家を売ったとき、条件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特例です。上の計算例のように譲渡所得が3,000万円以下であれば、税金はかからなくなります。
対象は、1981年5月31日以前に建てられた家で、相続の直前まで親が一人で住んでいたこと、相続から3年目の年末までに売ること、売った価格が1億円以下であることなどが条件です。2024年1月以降の売却では、相続人が3人以上いる場合、1人あたりの控除額は2,000万円になります。詳しい条件は相続した空き家の3,000万円特別控除で解説しています。
取得費加算の特例とは?
相続税を払った人が、相続税の申告期限の翌日から3年以内に相続した家を売った場合、払った相続税のうちその家に対応する分を取得費に足せる特例です。取得費が増えるため、譲渡所得が減ります。
ただし、3,000万円控除とは同時に使えず、どちらか一方を選ぶことになります。どちらが有利かは、相続税の額と譲渡所得の額によって変わります。
特例を使うために、売る前に気をつけることは?
3,000万円控除を使いたい場合は、売るまでの間に家を貸したり、事業に使ったりしないことが条件です。駐車場として貸した場合も対象外になることがあります。
また、期限を過ぎると使えなくなるため、相続から3年目の年末を見すえて、売る時期を決めておく必要があります。期限の一覧は空き家は何年まで放置していい?にまとめています。
税金はいつ、どうやって払う?
最後に、申告と納付の流れを確認していきましょう。
確定申告はいつする?
家を売った翌年の2月16日から3月15日までの間に、今住んでいる地域を受け持つ税務署で確定申告をします。名古屋の家を売った場合でも、名古屋の税務署に行く必要はなく、電子申告も使えます。
3,000万円控除など特例を使う場合は、税金がかからなくても確定申告が必要です。申告しないと特例が使えないため、注意してください。
住民税は、いつ払う?
譲渡所得にかかる住民税は、確定申告の内容をもとに計算され、売った翌年の6月ごろから納めます。所得税とは払う時期がずれるため、売却代金から住民税の分を取っておく必要があります。
また、譲渡所得は、翌年度の国民健康保険料などの計算に影響することがあります。売る年や受け取る人の状況によって変わるため、気になる場合は事前に確認しておくと安心です。
兄弟で分けた場合、税金は誰が払う?
兄弟で共有している家を売った場合は、それぞれが自分の持分に応じた譲渡所得について、自分で確定申告をして税金を払います。代表の一人がまとめて払うわけではありません。
3,000万円控除も一人ひとりが使う特例のため、全員がそれぞれ条件を確かめて申告します。共有の家の分け方は相続した空き家を兄弟で揉めずに決める方法で解説しています。
当社の場合
兄弟で相続した家の売却では、相続人お一人ずつの持分に応じて、売却代金と費用、税金の目安を分けて整理しています。売却代金を分ける前に、住民税の分をそれぞれ取っておくようお伝えし、申告に必要な売買契約書や費用の領収書の写しも、相続人の皆さまにお渡しします。
売ったあとの税金まで見すえて決めたい方へ
相続人ごとの手取りと税金の目安を整理し、特例を使える売り方を一緒に考えます。遠方の方も電話で進められます。現地確認は無料です。
空き家を売ったときの税金についてよくある質問
売った金額が買った金額より安ければ、税金はかかりませんか?
はい、利益が出なければ譲渡所得の税金はかかりません。ただし、買ったときの価格は書類で示す必要があり、書類がなければ売った価格の5%とみなされます。実際には損をしていても、書類がないために利益が出たと計算されることがあるため、契約書は必ず探してください。
3,000万円控除を使えば、確定申告はしなくていいですか?
いいえ、確定申告が必要です。特例は申告して初めて使えるもので、名古屋市など家のある市区町村から受け取る確認書などを添えて申告します。申告しなければ、特例を使わずに計算した税金を払うことになります。
相続税と譲渡所得の税金は、両方かかりますか?
両方かかることがあります。相続税は相続した財産全体にかかる税金で、譲渡所得の税金は相続した家を売って出た利益にかかる税金です。相続税を払った場合は、取得費加算の特例で、譲渡所得の税金を減らせることがあります。
売却代金を兄弟に分けたら、贈与税はかかりますか?
遺産分割で決めた割合どおりに分けるなら、贈与税はかかりません。一方、登記した持分と違う割合で代金を分けると、贈与とみなされるおそれがあります。売る前に、遺産分割協議書と登記の持分をそろえておくことが大切です。司法書士や税理士は当社からご紹介できます。
税金の計算は、不動産会社に頼めますか?
不動産会社は、売れる見込みの価格や譲渡費用、特例の条件など、計算の材料をそろえるお手伝いができます。一方、税額の計算や申告の代行は税理士の仕事です。名古屋空き家相談室では、売却の段階から税理士をご紹介し、手取りの目安を確かめたうえで売れるようにしています。
名古屋の空き家を売る前の税金の確認は、親が買ったときの書類を探すことから始めよう
空き家を売ったときの税金は、売った価格から取得費と譲渡費用を引いた利益にかかり、相続した家の多くは税率20.315%の長期譲渡所得になります。親が買ったときの価格がわかる書類があるかどうかと、3,000万円控除などの特例が使えるかどうかで、税金は大きく変わります。売る前に書類を探し、特例の条件と期限を確かめてください。
名古屋の空き家の売却と税金でお困りの方は、名古屋空き家相談室(0120-337-900、10時から19時、年中無休)にご相談ください。初回の相談と現地確認は無料です。