「実家と少しの預金だけなので、相続税はかからないと思っていた」「名古屋の実家の土地は、いくらと評価されるのか」。親が亡くなったあと、相続税がかかるかどうかは、実家の土地の評価と、使える特例で大きく変わります。
この記事では、相続税がかかるかどうかの目安、実家の土地の評価のしかた、小規模宅地等の特例の条件、実家を売る時期との関係を解説します。実際の税額は家ごとに違うため、申告は税理士や税務署に確かめてください。
この記事の結論
相続税は、遺産の合計が基礎控除の3,000万円と、600万円に法定相続人の数をかけた額の合計を超えるとかかります。令和6年分では、愛知県で亡くなった人のうち相続税がかかったのは16.2%で、全国より高めです。実家の土地は路線価で評価し、小規模宅地等の特例が使えれば、330平方メートルまで評価を8割減らせます。ただし、特例を使って税金がゼロになっても申告は必要で、親と別に暮らしていた子が特例を使う場合は、申告期限まで実家を持ち続ける必要があります。
実家を相続すると、相続税はかかる?
最初に、相続税がかかるかどうかの目安を確認していきます。
相続税は、いくらからかかる?
相続税は、遺産の合計から借金や葬儀費用を差し引いた額が、基礎控除を超えるとかかります。基礎控除は、3,000万円に、600万円と法定相続人の数をかけた額を足したものです。
たとえば、母がすでに亡くなっていて、子2人が父の遺産を相続する場合、基礎控除は3,000万円と1,200万円で4,200万円です。遺産がこれ以下なら、相続税はかからず、申告も必要ありません。
愛知県では、どのくらいの人にかかっている?
名古屋国税局の発表では、令和6年分に愛知県で亡くなった人は82,618人で、そのうち相続税がかかったのは13,398人、割合は16.2%でした。おおよそ6人に1人です。
名古屋市内に実家の土地があると、土地の評価が高くなりやすく、「うちは関係ない」と思っていた家でも基礎控除を超えることがあります。早めに目安を計算しておくと安心です。
申告の期限は、いつまで?
相続税の申告と納付の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。申告先は、亡くなった親の住所地を担当する税務署です。
遺産分割の話し合いや、実家を売るかどうかの判断も、この10か月を意識して進めます。期限の一覧は親が亡くなったあと、名古屋の実家はどうする?で解説しています。
実家の土地と建物は、どう評価される?
相続税での実家の評価のしかたを確認していきます。
土地は、路線価で評価する?
市街地の土地は、国税庁が毎年7月に公表する路線価で評価します。路線価は、道路ごとに1平方メートルあたりの価格が決められたもので、公示地価のおおよそ8割の水準とされています。土地の形や向きによって、さらに補正します。
路線価が決められていない地域では、固定資産税評価額に決められた倍率をかける倍率方式で評価します。名古屋国税局の管内である愛知・岐阜・三重・静岡の路線価は、国税庁のホームページで見られます。
建物は、どう評価する?
建物は、固定資産税評価額がそのまま相続税の評価額になります。固定資産税の課税明細書に書かれている額です。築年数の古い実家では、建物の評価額は低くなっていることが多くあります。
なお、相続税の評価額は、実際に売れる価格とは違います。路線価で評価した額より高く売れる土地もあれば、旗竿地や古い家が建つ土地のように、評価額より安くしか売れない土地もあります。
計算すると、どうなる?
仮の数字で、相続税がかかるかどうかを計算すると、次のようになります。子2人が相続し、基礎控除は4,200万円とします。
| 項目 | 特例を使わない場合 | 小規模宅地等の特例を使う場合 |
|---|---|---|
| 実家の土地(150平方メートル、路線価1平方メートル20万円) | 3,000万円 | 600万円 |
| 実家の建物(固定資産税評価額) | 300万円 | 300万円 |
| 預金 | 2,000万円 | 2,000万円 |
| 合計 | 5,300万円 | 2,900万円 |
| 基礎控除4,200万円との比較 | 1,100万円超える | 下回る |
この例では、特例を使えるかどうかで、相続税がかかるかどうかが変わります。土地の形による補正などは省いた計算で、実際の評価は税理士に確かめてください。
当社の場合
相続税の申告に使う評価額の計算は税理士の仕事ですが、当社では、実家が実際にいくらで売れそうかを査定でお伝えしています。相続税を払うために実家を売る場合は、申告と納付の期限の10か月から逆算して、片付けや売り出しの段取りをお伝えします。
小規模宅地等の特例とは?
実家の土地の評価を大きく減らせる特例を確認していきます。
どのくらい減らせる?
亡くなった親が住んでいた家の土地は、330平方メートルまで、評価額を8割減らせます。名古屋市内の一般的な広さの実家であれば、土地全体に使えることが多い特例です。
ただし、特例を使うには、相続税の申告書に特例を使う旨を書き、遺産分割協議書の写しなどを添えて提出する必要があります。特例を使って税金がゼロになる場合でも、申告は必要です。
誰が相続すると、使える?
特例が使えるかどうかは、実家の土地を誰が相続するかで決まります。親の配偶者が相続する場合は、条件なしで使えます。親と同居していた子が相続する場合は、申告期限まで住み続け、持ち続けることが条件です。
親と別に暮らしていた子が相続する場合は、いわゆる家なき子の特例として、親に配偶者も同居の相続人もいない、子が亡くなる前3年以内に自分や配偶者などが持つ家に住んでいない、今住む家を過去に持っていたことがない、申告期限まで土地を持ち続けるといった条件を、すべて満たす必要があります。持ち家に住む子は、原則として使えません。
親が施設に入っていた場合は?
親が要介護や要支援の認定を受けて、老人ホームなどに入っていた場合は、入る前に住んでいた実家が、親が住んでいた家として扱われます。ただし、親が施設に入ったあとに、実家を人に貸していた場合などは対象から外れます。
施設に入った親の実家をどうするかは親が施設に入った。実家を「売る・貸す・置いておく」どれが正解かで解説しています。
実家を売る時期と、税金の関係は?
相続税の特例と、売るときの税金の関係を確認していきます。
特例を使うと、すぐに売れない?
親と別に暮らしていた子が家なき子の特例を使う場合、申告期限まで土地を持ち続けることが条件です。亡くなってから10か月より前に売ると、特例が使えなくなります。
一方、配偶者が相続した場合は、持ち続ける条件はありません。誰が相続するかを決める前に、特例の条件と、実家を売りたい時期を照らし合わせておきます。売る時期の考え方は空き家を売るタイミングはいつ?で解説しています。
遺産分割がまとまらないと、特例は使える?
特例は、原則として申告期限までに遺産分割が決まっている土地に使えます。期限までに話がまとまらない場合は、いったん特例を使わずに申告して納め、3年以内に分割が決まれば、手続きをして特例を使い、払いすぎた税金を返してもらえます。この場合は、申告のときに分割の見込みを書いた書類を出しておきます。
協議書の作り方は実家を分ける遺産分割協議書の書き方と注意点で解説しています。
売ったときの税金で、使える特例は?
相続した実家を売って利益が出たときは、譲渡所得の税金がかかります。相続税を払った人が、申告期限の翌日から3年以内に売った場合は、払った相続税の一部を、売るときの経費に加えられる特例があります。
相続した空き家の3,000万円控除も、条件を満たせば使えますが、この相続税の加算の特例とは、どちらか一方を選ぶことになります。どちらが有利かは、税理士に確かめてください。条件は相続した空き家の3,000万円特別控除で解説しています。
当社の場合
家なき子の特例を使うため申告期限まで実家を持ち続ける場合は、その間に片付けや査定、境界の確認を進め、申告期限のあとすぐに売り出せるよう段取りをお伝えします。持ち続ける間の管理は、外まわりの見回りを月4,000円、室内の確認を含めて月8,000円(税別)でお受けしています。
実家の相続税についてよくある質問
相続税がかからない場合も、申告は必要ですか?
遺産の合計が基礎控除以下なら、申告は必要ありません。ただし、小規模宅地等の特例を使ったことで基礎控除を下回る場合は、申告が必要です。申告しないと特例が使えず、税金がかかることになります。
路線価は、どこで調べられますか?
国税庁のホームページで、地域ごとの路線価図を見られます。名古屋市内の土地も、区と町名から探せます。実家の土地が面している道路の数字が、1平方メートルあたりの価格で、単位は千円です。
実家の評価額と、売れる価格は同じですか?
同じではありません。相続税の評価額は路線価をもとに計算するため、実際に売れる価格より低くなることが多いものの、土地の形や建物の状態によっては、評価額より安くしか売れない場合もあります。売れる価格は名古屋の空き家の査定はどう決まる?で解説しています。
マンションの実家にも、小規模宅地等の特例は使えますか?
はい、マンションの敷地の持分にも使えます。マンションは土地の持分が小さいため、330平方メートルの上限に収まることがほとんどです。2024年からは、マンションの評価のしかたが見直されているため、税理士に確かめてください。
相続税を払うお金がない場合は?
相続税は原則として現金で一括して納めます。手元にお金がない場合は、実家を売って納める方法のほか、分割で納める延納などの制度もあります。売って納める場合は、10か月の期限に間に合うよう、早めに売却の準備を始めてください。
名古屋の実家の相続税は、基礎控除と特例の条件を確かめることから始めよう
相続税は、遺産の合計が3,000万円と600万円に相続人の数をかけた額の合計を超えるとかかり、愛知県では亡くなった人の16.2%にかかっています。実家の土地は路線価で評価し、小規模宅地等の特例を使えば、330平方メートルまで8割減らせます。特例を使うと申告は必要で、親と別に暮らしていた子が使う場合は、申告期限まで売れません。売る時期とあわせて、税理士に確かめてください。
名古屋の実家の相続や売却でお困りの方は、名古屋空き家相談室(0120-337-900、10時から19時、年中無休)にご相談ください。初回の相談と現地確認は無料です。