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活用か解体か売却か

親が施設に入った。実家を「売る・貸す・置いておく」どれが正解か

この記事の結論

親が施設に入った直後に、実家を売るか貸すかを決める必要はありません。ただし「何もしない」はだめで、まず家が傷まないように管理を始め、その間に5つのことを確認します。親が戻る可能性、施設費用を家で賄う必要があるか、家の状態、税の特例の期限(親名義で売るなら住まなくなって3年目の年末まで)、親の判断能力の5つです。この中で先延ばしにできないのは最後の2つで、親が元気なうちに「売る権限」を整えておくと、後の選択肢が全部残ります。

親が介護施設に入り、実家が空いた。「売った方がいいのか」「貸せるのか」「しばらく置いておいていいのか」。この相談は、名古屋空き家相談室に寄せられる中でいちばん多いものです。

結論から言うと、正解は家ごとに違います。ただ、決め方の順番は同じです。この記事では、3つの選択肢の向き不向きと、どの順番で何を確認すればいいかを整理します。

3つの選択肢と、それぞれが向いている状況

選択肢 向いている状況 注意すること
売る 親が戻る可能性が低い/施設費用を家で賄いたい/兄弟で分けやすくしたい 親名義のまま売るには親本人の意思と判断能力が要る。税の特例に期限がある
貸す 家が比較的新しく水まわりが使える/駅に近い/将来戻る・売る可能性を残したい 家財の片付けが必要。古い家は修繕が続く。普通の賃貸契約だと戻りたいときに戻れない
置いておく(管理する) 親が「帰りたい」と言っている/兄弟で話がまとまっていない/相続登記などの手続きが途中 固定資産税・保険・光熱費・管理費が毎年かかる。放置すれば傷んで、売る・貸すの両方が難しくなる

多くの方が最初に選ぶのは「置いておく」です。それ自体は間違いではありません。問題は「置いておく」が「放置する」に変わってしまうことです。施設に入って最初の1〜2年は、親の体調や施設の変更など別のことで手一杯になります。その間、家が閉め切られたままだと、カビと湿気で傷み、売るときの価格も、貸すための工事費も、悪い方に動きます。

当社の場合

施設入居のご相談では、最初に「売る・貸す」を決めてもらうことはしません。まず空き家管理(月4,000円から)で家の状態を止めて、毎月の報告書を見ながら半年〜1年かけて決めていただく形が多いです。決めるまでの間に家が傷まなければ、売る・貸す・戻るのどれも選べます。

決め方の5つの軸

1. 親が戻る可能性はあるか

施設の種類によって違います。特別養護老人ホームや有料老人ホームへの入居は、戻ることを前提にしていないことが多い一方、ショートステイの延長や、リハビリ目的の入院・入所は戻る前提です。本人が「帰りたい」と言っている場合、売る話を進めると家族の関係が壊れます。戻る可能性が残っているなら、まず管理をして、半年後にもう一度考える、で十分です。

2. 施設の費用を家で賄う必要があるか

有料老人ホームは入居一時金と月額費用が大きく、年金と貯蓄で足りないときに実家を売って充てる方は多くいます。この場合は「売る」が現実的な選択肢になります。ただし、売れるまで数か月かかるので、費用が足りなくなる前に動き出す必要があります。

3. 家の状態

築年数、耐震(1981年5月以前の建物は旧耐震)、水まわりの状態、家財の量で、貸せるかどうかがほぼ決まります。貸すために数百万円の工事が要る家は、売った方が手元に残ることが多いです。逆に、水まわりが使えて駅に近い家は、貸して家賃を施設費用に充てる方法が成り立ちます。

4. 税の特例の期限

親が自分で住んでいた家を親名義のまま売る場合、譲渡所得から3,000万円を差し引ける特例(居住用財産の3,000万円特別控除)が使えることがあります。施設に入って住まなくなった場合でも使えますが、「住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」に売ることが条件です。施設に入って4年目以降に売ると、この特例は使えません。売る可能性が少しでもあるなら、この期限は意識しておく必要があります。要件の確認は税理士が必要なので、当社からご紹介します。

5. 親の判断能力

ここがいちばん大事で、いちばん見落とされます。家は親の名義なので、売るにも貸すにも親本人の意思と判断能力が必要です。認知症が進んで判断能力がないと判断されると、家族であっても売ることはできず、家庭裁判所で成年後見人を選び、さらに裁判所の許可を得て売ることになります。時間も費用もかかり、売るかどうかの判断も裁判所の基準で決まります。

親がまだ元気で、意思を示せるうちに「将来売ることになったら誰がどう進めるか」を決めておく(家族信託や任意後見などの方法があります)と、後で全部の選択肢が残ります。先延ばしにしてはいけないのは、売る・貸すの決断ではなく、この準備です。

当社の場合

ご相談のとき、「親御さんは今、ご自分で契約書にサインできる状態ですか」を必ず伺います。できるなら、今すぐ売らなくても、売れる準備(名義の確認、必要書類、親の意思の確認)だけは先に整えることをおすすめしています。できない状態なら、成年後見に詳しい司法書士をご紹介し、その手続きの間に家が傷まないよう管理を続けます。

親の施設入居で実家が空いた方へ

5つの軸を一緒に確認して、今すぐ決めることと、半年後に決めればいいことを分けてお伝えします。現地確認は無料で、遠方の方は電話と写真で進められます。

「置いておく」を選んだときの年間費用

管理して置いておく場合、毎年かかる費用はおおむね次の項目です。金額は家によって違うので、ご相談のときに納税通知書と保険証券から実際の数字を出します。

  • 固定資産税・都市計画税(住宅用地の特例が続く前提。管理していないと特例が外れることがあります)
  • 火災保険(空き家向けの保険は住宅向けより高いことが多い)
  • 電気・水道の基本料金(室内の換気・通水をするなら水道は必要)
  • 空き家管理の費用(当社は月4,000円または8,000円・税別)
  • 年2〜3回の草刈り、庭木の剪定

この合計と、売った場合の手取り、貸した場合の手残りを並べると、「置いておく」のコストがはっきりします。それでも置いておく価値があるなら、それが正解です。

兄弟で意見が割れているとき

「兄は売りたい、妹は残したい」は珍しくありません。揉める原因の多くは、同じ数字を見ていないことです。売ったらいくら、貸したらいくら、置いておいたら年いくら。この3つを全員が同じ紙で見ると、話が進むことが多いです。当社では、ご兄弟それぞれに同じ内容の報告書と試算をお送りしています。

まとめ:相談すると何が分かるか

親が施設に入った直後に、売る・貸すを決める必要はありません。管理を始めて家の状態を止め、5つの軸を確認しながら、半年〜1年で決めれば十分です。ただし、親の判断能力と税の特例の期限だけは、先延ばしにすると選択肢が消えます。

名古屋空き家相談室にご相談いただくと、次のことが分かります。

  • 家の状態から見て、貸せる家か、売った方がいい家か
  • 置いておく場合の年間費用と、売った・貸した場合の手残りの比較
  • 税の特例の期限が、いつまでか
  • 親御さんの状態に応じて、今整えておく手続き(必要なら司法書士・税理士をご紹介)

初回の現地確認と相談は無料です。決めるのは、見てからで構いません。

この悩み、まず現地を見てお伝えできます

初回の現地確認と相談は無料です。管理を頼むかどうかは、見てから決めてください。

akiya-ibuki

伊吹株式会社(不動産のイブキ)代表取締役。宅地建物取引士。国土交通大臣(1)第10691号。名古屋市西区を本店に、空き家の管理・活用・解体・売却の相談を受けています。

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