「実家の登記簿を取ったら、昭和の日付の抵当権が残っていた」「父は住宅ローンを返し終えたはずなのに、銀行の名前が消えていない」。親の家を相続して登記簿を確かめると、古い抵当権が残っていることがあります。抵当権が残ったままでは、実家はほぼ売れません。ただし、多くの場合は手続きで消せます。
この記事では、実家に古い抵当権が残る理由、残っている抵当権の種類ごとの消し方、ローンが残っている実家を売るときの流れを解説します。
この記事の結論
抵当権は、ローンを返し終えても、抹消の登記をしない限り登記簿に残ります。親がローンを完済していたなら、銀行などから抹消の書類をもらい、法務局で抹消の登記をします。費用は不動産1つにつき1,000円の登録免許税と書類の取り寄せ費用です。合併した銀行や住宅金融公庫の抵当権は、引き継いだ先に申し出ます。昔の個人や解散した会社の抵当権で、相手と連絡が取れない場合は、供託や2023年4月からの新しい手続きで抹消できることがあります。ローンが残っている場合は、売却代金で返済し、引き渡しの日に同時に抹消します。
なぜ、古い抵当権が残っている?
最初に、抵当権が残る理由と、登記簿のどこを見るかを確認していきます。
抵当権とは?
抵当権は、お金を貸した銀行などが、返済されないときにその家や土地を売って回収できるようにする権利です。家を建てたり買ったりするときに住宅ローンを借りると、その家と土地に抵当権が設定され、登記簿に記録されます。
ローンを返し終えたのに、なぜ残る?
ローンを返し終えても、抵当権は自動では消えません。持ち主が法務局に抹消の登記を申請して、はじめて登記簿から消えます。返し終えたときに銀行から抹消の書類を受け取ったまま、手続きをせずにしまい込んでいる家は少なくありません。
登記簿のどこを見る?
登記簿の権利部の乙区に、抵当権の設定と、お金を貸した人(抵当権者)の名前、金額、設定した日が書かれています。抹消されていれば、その抵当権に線が引かれ、抹消の登記が記録されています。線が引かれていない抵当権が、今も残っているものです。
残っている抵当権は、どう消す?
抵当権者が誰かによって、消し方が変わります。
銀行のローンを返し終えていた場合は?
親の書類の中に、銀行から受け取った抹消の書類(解除証書、登記識別情報や登記済証、銀行の委任状など)がないかを探します。見つかれば、それを使って抹消の登記をします。銀行の資格を証明する書類には有効期限があるため、古い場合は銀行に新しいものを出してもらいます。
書類が見つからない場合は、銀行に返済が終わっていることを確かめ、抹消の書類を出し直してもらいます。登録免許税は、土地と建物それぞれ不動産1つにつき1,000円です。
銀行が合併していたり、住宅金融公庫だったりしたら?
銀行が合併や名前の変更をしている場合は、引き継いだ銀行に申し出ます。旧住宅金融公庫の抵当権は、住宅金融支援機構が書類の発行を引き継いでいます。抵当権者の名前が今と違っていても、引き継いだ先がわかれば、手続きは進められます。
昔の個人や、解散した会社の抵当権は?
明治から昭和の初めごろに、個人や今はない会社から借りたときの抵当権が残っていることがあります。相手やその相続人と連絡が取れれば、協力してもらって抹消します。連絡が取れない場合は、登記簿に書かれた金額と利息などを法務局に供託して抹消する方法や、裁判所の手続きを使う方法があります。昔の金額のため、供託する額が小さく済むこともあります。
2023年4月からは、解散した会社の抵当権について、解散から30年、返済の期日から30年が過ぎ、清算人の所在がわからないなどの条件を満たせば、持ち主だけで抹消を申請できるようになりました。どの方法が使えるかは、司法書士に相談して決めます。
根抵当権が残っていたら?
親が商売をしていた場合などは、決まった額まで繰り返し借りられる根抵当権が設定されていることがあります。根抵当権は、借入れを返し終えていても、取引の終了と抹消の手続きをしない限り残ります。金融機関に、今も借入れがあるかと、取引を終えられるかを確かめ、終えられるなら抹消の書類を出してもらいます。親が亡くなったあと、相続人が取引を引き継ぐ手続きをしないままでいると、一定の期間で借入れの額が確定する決まりもあるため、早めに金融機関に連絡します。
当社の場合
実家の売却のご相談では、最初に登記簿で抵当権などが残っていないかを確かめます。古い抵当権が見つかった場合は、抹消にかかる時間を見込んで、売り出しや引き渡しの日程を組みます。
ローンが残っている実家を売るには?
親のローンが残っている実家を相続した場合の売り方を確認していきます。
団体信用生命保険は、使われている?
住宅ローンを借りるときに団体信用生命保険に入っていれば、親が亡くなったときに保険でローンが返済され、残りはなくなります。その場合も、抵当権を消すには抹消の登記が必要です。保険が使われたかどうかは、ローンを借りていた銀行に確かめます。
相続の前に、親のローンを調べるには?
親の通帳で毎月の引き落としを確かめ、引き落とし先の銀行に、ローンの残りと団体信用生命保険の有無を問い合わせます。問い合わせには、親が亡くなったことがわかる戸籍と、相続人であることがわかる書類が必要です。銀行以外からの借入れは、信用情報機関に開示を求めて調べる方法もあります。
ローンが残っている場合は?
ローンが残っている実家も売れます。引き渡しの日に、買主から受け取る代金でローンを返し、その場で抵当権を抹消して買主に名義を移します。売却代金でローンを返し切れるかを、売る前に確かめておきます。返し切れない場合は、差額を手持ちのお金で用意するか、銀行と相談します。
親の借金が多い場合は?
実家に事業の借入れの抵当権(根抵当権)がついていたり、ほかにも借金があったりする場合は、相続するかどうかから考えます。相続放棄は、相続を知ってから3か月以内に家庭裁判所に申し立てます。考え方は相続放棄すれば空き家の管理はしなくていい?で解説しています。
当社の場合
ローンが残っている実家は、売る価格の見込みと、返済後に残る手取りを並べてお伝えします。引き渡しの日に返済と抹消を同時に済ませる段取りも、銀行や司法書士と日程を合わせて進めます。早く手放したい方には、買取のご相談もお受けしています。
実家の古い抵当権についてよくある質問
実家に残る古い抵当権について、よく聞かれる質問をまとめました。
抵当権が残っていても、売れますか?
抵当権がついたままだと、買ったあとに家を競売にかけられるおそれが残るため、買主はほとんどの場合買いません。売買契約では、引き渡しの日までに売主が抵当権を抹消することが条件になります。売り出す前に抹消の見込みを立てておきます。
抹消の手続きは、自分でできますか?
銀行から書類がそろっている場合は、自分で法務局に申請できます。書き方は法務局で相談できます。昔の個人の抵当権など、相手と連絡が取れない場合は、手続きが複雑になるため、司法書士に頼むのが一般的です。
相続登記と抹消は、どちらを先にしますか?
実家を相続した人の名義に変える相続登記をしてから、抵当権の抹消をするのが一般的です。親が生きているうちにローンを返し終えていた場合は、抹消を先にすることもあります。順番は司法書士に確かめます。相続登記の流れは相続した空き家の名義変更はいつまで?で解説しています。
抹消にはどのくらいの時間がかかりますか?
銀行から書類がそろっていれば、法務局に申請してから1週間から2週間ほどで終わることが多くあります。昔の個人の抵当権で、相続人を探したり供託をしたりする場合は、数か月かかることもあります。
祖父の名義の土地に、古い抵当権も残っていました。
祖父から今の相続人への相続登記と、抵当権の抹消の両方が必要です。相続人を確かめる戸籍集めと並行して、抵当権者を調べます。祖父母の名義のままの実家の手続きは祖父母の名義のままの実家を売るにはで解説しています。
実家の古い抵当権は、登記簿の乙区を確かめることから始めよう
抵当権は、ローンを返し終えても抹消の登記をしない限り残ります。親が返済を終えていたなら、銀行などから書類をもらって抹消し、合併した銀行や旧住宅金融公庫の場合は引き継いだ先に申し出ます。昔の個人や解散した会社の抵当権は、供託や2023年4月からの手続きで抹消できることがあります。ローンが残っている場合は、売却代金で返して引き渡しの日に抹消してください。
名古屋の実家の古い抵当権や、ローンが残る実家の売却でお困りの方は、名古屋空き家相談室(0120-337-900、10時から19時、年中無休)にご相談ください。初回の相談と現地確認は無料です。