この記事の結論
空き家のカビは、掃除の前に原因を確かめることが先です。雨漏り、床下からの湿気、結露のどれが原因かで対処が変わり、原因を止めずに拭いても、翌月にはまた出てきます。表面のカビは市販のカビ取り剤や消毒用エタノールで自分で落とせますが、畳の裏・壁紙の裏・床下・天井裏まで進んだカビは業者の範囲です。そして、どこまで直すかは「売る・貸す・住む・壊す」で決まります。売る予定の家に、何十万円もかけてカビを取る必要はないこともあります。
半年ぶりに実家に帰ったら、畳が白くなっている、押入れの布団が黒い点だらけ、部屋に入った瞬間にカビの臭いがする。空き家のご相談で、写真を見せていただくとよくある光景です。慌てて掃除を始める前に、確認してほしいことがあります。
まず確認すること:カビがどこに出ているか
カビの出ている場所で、原因がある程度分かります。
| 出ている場所 | 考えられる原因 |
|---|---|
| 天井、壁の上の方、窓枠のまわりにしみとカビ | 雨漏り。屋根・外壁・窓まわりから水が入っている |
| 畳、床、壁の下の方、押入れの下段 | 床下からの湿気。低い土地、床下換気口がふさがっている、地面が湿っている |
| 北側の部屋の壁、窓ガラスまわり、押入れの奥の壁 | 結露。外と室内の温度差で壁や窓に水滴がつく |
| 布団、衣類、家具の裏、本 | 閉め切った室内の湿気そのもの。換気不足 |
| 浴室、洗面所、キッチンの下 | 水まわりの湿気。配管からの水漏れの可能性も |
特に注意したいのが雨漏りです。天井や壁の上の方にしみがあれば、カビを拭く前に屋根や外壁の点検が必要です。雨漏りは放置すると柱や梁まで傷み、カビどころでは済まなくなります。
当社の場合
カビのご相談で現地に伺うと、まずカビの出ている場所をすべて写真に撮り、上の表に当てはめて原因を絞ります。天井のしみがあれば屋根と外壁、床まわりなら床下換気口と敷地の水はけ、北側の壁なら結露を疑います。原因が分かれば、「掃除で済むか」「修理が要るか」を分けてお伝えできます。
自分で掃除できるカビ、できないカビ
自分で掃除できる範囲
- 窓枠、ガラス、サッシの表面
- 浴室のタイルや目地、洗面台
- 家具や壁の表面にうっすら出たカビ
- 押入れの中の板(表面だけの場合)
業者に頼んだ方がいい範囲
- 畳:表面を拭いても、畳の芯までカビが入っていることが多く、交換した方が早いです。
- 壁紙の裏:壁紙の表に黒い点が出ている場合、裏の石膏ボードまでカビが広がっていることがあります。壁紙を剥がして確認が必要です。
- 天井裏・床下:雨漏りや床下の湿気が原因のカビは、構造材まで傷んでいる可能性があり、点検と補修が必要です。
- 広い範囲:部屋全体、家全体に広がっている場合は、自分で掃除すると体を壊すおそれがあります。
自分で掃除するときの安全な手順
カビの胞子は、吸い込むと咳やアレルギーの原因になります。特に高齢の方、ぜんそくなど呼吸器が弱い方は、カビの多い部屋での作業を避けてください。
- マスク・手袋・眼鏡をつける:使い捨てのマスクと手袋、目を守る眼鏡かゴーグル。汚れてもよい服で。
- 窓を開けて換気する:作業中は窓を開け、換気扇があれば回します。
- 乾いたまま掃除機で吸わない、はたかない:胞子が舞い上がります。
- 素材に合った薬剤を使う:タイル・ガラスなど水を吸わない素材は市販の塩素系カビ取り剤、木や布など変色が心配な素材は消毒用エタノールで拭くのが一般的です。塩素系の製品は、酸性の洗剤と混ぜると有毒なガスが出るので、絶対に一緒に使わないでください。製品の注意書きに従ってください。
- 拭き取ったら乾かす:濡れたままにすると、すぐに再発します。窓を開けて十分に乾かします。
- カビた布団・衣類・本は処分を考える:洗っても臭いと胞子が残ることが多いです。
どこまで直すかは、家をどうするかで決める
カビの出た空き家を前にして、「全部きれいにしなければ」と考える必要はありません。家をこの先どうするかで、直す範囲が変わります。
| この先の予定 | カビへの対処の考え方 |
|---|---|
| 親が戻って住む/自分が住む | 原因を止め、畳・壁紙の交換まで含めてしっかり直す。健康に関わるので妥協しない |
| 貸す | 入居者が住める状態まで直す必要がある。費用と家賃の回収年数で判断(貸す・活用する相談) |
| 売る(建物付き) | 買主がリフォームする前提なら、大きくお金をかけない。雨漏りの原因だけ止め、表面の掃除と換気で臭いを抑える |
| 壊して土地で売る | カビの除去は不要。解体まで周囲に迷惑がかからない状態を保つ |
| まだ決めていない | これ以上広げないことを優先。原因を止め、月1回の換気を始める |
売る予定の家にカビの除去と内装の張り替えで大きな費用をかけても、その分だけ高く売れるとは限りません。買主は自分の好みでリフォームしたいことが多いからです。お金をかけるべきなのは、雨漏りのように「放置すると家全体が傷むもの」の原因を止める部分です。
帰ったらカビが広がっていた方へ
カビの場所から原因を絞り、掃除で済むか修理が要るか、家の今後の予定に合わせてどこまで直すかをお伝えします。現地確認は無料です。
売るときは、カビと雨漏りを伝える
家を売るとき、雨漏りやカビの被害があったことを知っていながら買主に伝えないと、売った後にトラブルになります。個人が売主の場合、契約で「建物の不具合について責任を負わない」と定めることはできますが、知っていた不具合を隠していた場合は、その定めがあっても責任を問われることがあります。カビや雨漏りの履歴は、隠さず伝えた上で、価格や条件に織り込むのが安全です。
当社の場合
当社で売却をお受けする場合、カビや雨漏りの状態は写真付きで記録し、買主への説明に使います。「どこまで直してから売るか」は、直した場合と直さない場合の価格の差と費用を比べてご提案します。管理を続けている家は、毎月の報告書でカビが広がっていないことを示せるので、買主の安心材料になります。
再発させないために
- 原因(雨漏り・床下換気・結露)を止める
- 月1回、晴れた日に押入れまで開けて換気する(空き家の換気はどのくらいの頻度が必要?)
- 月1回、全部の蛇口を開けて排水口に水をためる
- 押入れ・洗面所に除湿剤を置き、巡回のたびに交換する
- カビた布団・衣類・畳など、湿気を吸う物を減らす
まとめ:相談すると何が分かるか
空き家のカビは、拭く前に原因を確かめること。表面のカビは自分で落とせますが、畳・壁紙の裏・床下・天井裏は業者の範囲です。どこまで直すかは、住む・貸す・売る・壊すの予定で決めてください。売る予定の家に大きなお金をかける必要はないことが多いです。
名古屋空き家相談室にご相談いただくと、次のことが分かります。
- カビの出ている場所と、原因(雨漏り・床下・結露・換気不足)
- 掃除で済む範囲と、修理や交換が要る範囲
- 家の今後の予定に合わせて、どこまで直すべきか
- 再発させないための管理(空き家管理の内容と料金)
初回の現地確認と相談は無料です。掃除を始める前に、一度見せてください。